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生成AIを活用して完全自動運転の実現に挑戦するチューリング【AD/ADASの現状をおさらいする Vol. 1】

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生成AIを活用して完全自動運転の実現に挑戦するチューリング【AD/ADASの現状をおさらいする Vol. 1】
データ収集|実際の走行データを収集し、研究室内でバーチャルな自動運転車を制御する。まずはシミュレーションで検証し、実車にインストールしてクローズドコースを走り、正常な動作を確認できれば公道で試験走行を行なう。この繰り返しが自動運転ソフトウェアの開発である。「まだ完全ではないが、天候や日時などのパラメーターを振っても適切に運転できるかどうかを確認している」という。

LLM=ラージ・ランゲージ・モデルズは自然言語を扱う生成AIであり、いま注目の技術のひとつだ。これを利用して、自動運転ソフトウェアの精度を高める開発をチューリングが行なっている。めざすは2030年にレベル5の自動運転機能を搭載したBEVの発売である。

TEXT&PORTRAIT:牧野茂雄(Shigeo MAKINO) FIGURE:TURING

社名の由来はコンピューター黎明期に活躍したイギリスの数学者、アラン・チューリングだという。彼の功績でもっとも有名なのは、第二次大戦時にドイツ海軍の暗号「エニグマ」を解読できるコンピューターの開発に成功したことだろう。

アメリカではBEV(バッテリー電気自動車)専業の企業がニコラ・テスラから名前をもらってテスラと名乗った。日本では自動運転ソフトウェアの開発と、それを実装したBEVの発売をめざす会社がアラン・チューリングにちなんだ社名を掲げた。同社でソフトウェア開発を担当する山口氏に「いま手がけていること」と「将来の目標」を尋ねた。伺っていたのは「日本でBEVを量産する」という目標だったが、そこに向けたステップはユニークでありながら理路整然としていた。

とにかく距離を走る|データ収集にはドライブレコーダーを前後左右に取り助けて360度全周を記録する車両も使う。この車両の開発は山口氏が指揮を取り、わずか200万円で実現した。「実際に走らせてみると、カメラへの影響がもっとも大きいのは夜間。昼と夜とでは光量がまったく違い、画像として捉えられるものは前走車のテールランプ、信号機、街路灯の周辺などが中心になる」と山口氏。
著者
牧野 茂雄
テクニカルライター

1958年東京生まれ。新聞記者、雑誌編集長を経てフリーに。技術解説から企業経営、行政まで幅広く自動車産業界を取材してきた。中国やシンガポールなどの海外媒体にも寄稿。オーディオ誌「ステレオ時代」主筆としてオーディオ・音楽関係の執筆にも携わる。

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