水冷による冷却コントロールで実現したアルミ合金製のタービンハウジング[株式会社 昭和]
排気温度が高温になるガソリン用ターボのタービンハウジングは耐熱性に優れる鋳鉄材を使うのが常識だ。しかし、ターボリペアのスペシャリスト「昭和」が取り扱いを始めたコンチネンタル製ターボは、アルミ合金製だった。その中身は......。
TEXT:髙橋一平(Ippey TAKAHASHI) PHOTO:澤田優樹(Yuki SAWADA)
「ドイツからの直送便で数日前に届いたばかりでして、まだ分解していないので詳細なところ(調査)はこれからなのですが、一目見てまずタービンハウジングがアルミ合金製であることに驚きました。各部の分割方法や組み立て方も少々特殊なものになっているようです」
ターボチャージャーのリビルドという分野において草分け的存在である昭和。ターボだけでなくディーゼル用の燃料ポンプなど、高い校正精度が求められるモジュール部品を多数手がける同社の取り扱い品目に新たにコンチネンタル製ターボが加わった(当面はリビルト対応はなく、アフターマーケット品としての補修用ターボの販売のみ)。数多くのターボを見てきた株式会社昭和の代表取締役・川上裕之氏もアルミ合金製のタービンハウジングを持つターボは初めて見るということだ。
高温となる排ガスの流れを適切にコントロールしながらタービンへと導く役目を担うタービンハウジングには、ニッケル系の鋳鉄材(合金)を用いるのが一般的......というよりも常識と言って良い。とくにガソリンエンジンでは排気温度が1000°Cを超えることも珍しくないため、タービンハウジングにおける耐熱性の確保はターボ成立のカギともいえる重要なファクターのひとつとなっている。高価な高耐熱材料が必須とされ、ターボにおいてもっともコストがかかる部分として数えられるところでもある。
「持ってみてください。軽いですよ」
川上代表から手渡されたターボは、エキゾーストマニフォールドまで一体となったタービンハウジングを持っていた。過去の経験を基に腕が自然と身構えるが、予想外の軽さにわずかだが筋力がオーバーシュートするような戸惑いにも似た感覚をおぼえる。エキゾーストマニフォールド部別体の一般的なターボと同程度かそれよりも少し軽いように感じた。切削加工の施されたエキゾーストマニフォールドのフランジ面は確かにアルミ特有の色合いだ。BMWのB38型系エンジン(ガソリン1.5L3気筒)に組み合わされるものだという。