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椿本チエイン、「アークチェーンアクチュエータ」を開発。アーチ状ジップチェーンでトラックのウイングボディ開閉機構に採用。

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椿本チエイン、「アークチェーンアクチュエータ」を開発。アーチ状ジップチェーンでトラックのウイングボディ開閉機構に採用。

椿本チエインは、ジップチェーン(噛合いチェーン)から派生した、アーチ状に伸縮するアークチェーンを用いた「アークチェーンアクチュエータ」を開発したことを発表した。直線作動のジップチェーン同様、動力をアーチ状の動作にダイレクトに変換し、ドアの開閉や作業台の傾転、ワークの反転などに最適な機構となる。 その一般発売に先行し、パブコのトラック荷台のウイングボディ開閉機構に採用された。

アークチェーンアクチュエータ採用の背景

「物流2024年問題」の下、物流業界では、トラックドライバーの労働時間短縮に向けて様々な取り組みが展開されている。その1つ、トラックの荷物の積み下ろしやメンテナンス作業もドライバーの大きな負荷となっている。その課題解決策の1つとして、トラックの荷台の側面が大きく開き、荷物の積み下ろしがしやすいウイングボディの採用が増加している。

このウイングボディ開閉機構は油圧式が一般的だが、油もれやメンテナンス工数が課題となっていた。トラック用ボディの製造販売を行うパブコでは、これら課題解決に加え、装置全体のコンパクト化、省エネルギーの観点から、駆動ユニットの電動化を検討されていた。その第1弾として、大型ウイングボディ「エクシオウイング」のウイングボディ開閉の電動駆動ユニットとして「アークチェーンアクチュエータ」が採用されたものである。電動チェーンユニットを用いたウイングボディ開閉機構は世界初となる。

パブコ・大型ウイングボディ
ウイング開閉部分(上)とACA(下)

アークチェーンアクチュエータ採用のメリット

①油漏れの心配がなく、メンテナンスが容易
油圧式のように油圧ユニットや配管が不要となるため、油漏れの心配がなくなった。さらに、定期的なメンテナンスも不要となり、コスト削減、ドライバーの待機時間の緩和にもつながる。

②環境対応
油圧式に比べ、クリーンかつ消費電力量の削減につながる。

③動作の自由度が高い
油圧式では難しかった多点停止や加減速などの制御を容易に実現できる。

ACAを用いた電動システムと油圧システムの比較(パブコ Webサイトより)

今後の展開

前述のとおり、ウイング車は荷物の積み下ろし作業を効率化できるため、ウイング車への採用拡大が期待される。この分野での電動化ニーズに対応するとともに、生産設備などの作業台の傾転、扉の開閉、ワークの反転など、工場の生産ラインを含めた用途拡大が図られる。

ジップチェーンアクチュエータ
アークチェーンアクチュエータ
油圧式(別途油圧ユニットが必要)
アークチェーンアクチュエータ
電動シリンダ(直動機器)
アークチェーンアクチュエータ
著者
Motor Fan illustrated

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