「見たい」と「見せない」を両立させる調光フィルムを採用。ダイキョーニシカワが描く自動運転時代の「車内空間」|人とくるまのテクノロジー展 2024
ダイキョーニシカワは広島県東広島市に本社を構える、内外装の樹脂部品メーカーだ。同社は2034年を見据えた次世代インテリアコンセプトモデルを発表。自動運転レベル4を想定した革新的な車内空間を提案した。フラットな車内空間にはどのような想いが込められているのか。デザイン開発Grの原辺良周氏と岩田かほり氏に話を伺った。
TEXT:庭野 ほたる(Hotaru Niwano)
PHOTO:村上 弥生(Yayoi Murakami)
主催:公益社団法人自動車技術会
インテリアコンセプトモデルの中核は調光フィルム
ダイキョーニシカワの次世代インテリアコンセプトモデルの中核をなすのは、調光フィルム技術だ。この技術は、車内の快適性と視認性を大幅に向上させるために開発された。調光フィルムは、通電により透明から黒へと変化する特性を持つ。必要な情報を表示する際には黒くなり、表示が不要な自動運転モード時などには透明になる。
このフィルムは、コンソールの上面、ドアトリムやカウル周りに使用されている。調光フィルムの採用により、乗員はすっきりとした視界とともに、必要な情報を瞬時に確認できる。また、調光フィルムを使ったディスプレイは、光の反射を抑えて日中でも高い視認性を保つ特徴がある。
調光フィルムは、視認性を向上させるために非常に有効だ。自動運転モードに切り替えると、フィルムが黒くなり、メーター表示やナビゲーション情報を鮮明に表示できる。逆にオフの時にはフィルムが透明になり、車内の視覚的ノイズを減少させる。
つまり調光フィルムは、「見たい」と「見せない」を両立させるのだ。
自動運転時代を見据えた直感的なインターフェース
ダイキョーニシカワの次世代インテリアコンセプトモデルは、自動運転時代を見据えた直感的なインターフェースを備えている。このモデルでは、音声認識技術を駆使して、運転者が目的地を指定するだけで、自動的に運転モードが切り替わる。
岩田氏は「このインターフェースは非常に使いやすく、目的地を声で伝えるだけで車が自動的に反応します。とくに自動運転中には、視覚的な情報が最小限に抑えられ、乗員は快適な空間で過ごせます」と述べている。
このインターフェースは、ただ便利なだけでなく、車内のデザインにも大きく貢献している。従来の車内では、多くのスイッチやディスプレイが必要であり、それが視覚的なノイズとなっていた。しかし、このモデルでは、音声認識と調光フィルムを組み合わせることで、必要な時だけ情報を表示し、それ以外の時にはすっきりとした空間を提供するのだ。
リビングルームのような空間を
このインターフェースは、カスタマイズ性にも優れている。運転者の好みに応じて、車内の環境を自由に設定できるのだ。
また、自動運転中にはステアリングが格納され、乗員は広々とした空間を利用できる。これにより、車内での過ごし方が大きく変わる。まるでリビングルームのような快適な空間を得られるのだ。
自動運転の技術が進化する中、私たちが重要に感じるのはやはり車内での過ごし方ではないだろうか。近い将来、このようなインターフェースは非常に有用になる。ダイキョーニシカワは、この直感的なインターフェースをさらに進化させ、自動運転時代の新しい車内空間を提案していく考えだ。