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都合のいいディスプレー:気配を消す「イントゥービジブル ディスプレー」 – コンチネンタル|人とくるまのテクノロジー展 2024

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都合のいいディスプレー:気配を消す「イントゥービジブル ディスプレー」 – コンチネンタル|人とくるまのテクノロジー展 2024

人とくるまのテクノロジー展2024YOKOHAMAでは、ブースにおける情報発信の変化を感じた。代表的なコンチネンタルのブースを紹介する。

コンチネンタルは5月22日(水)から24日(金)までの3日間で、毎日9回のステージ・プレゼンテーションを行った。展示スペースでも、PCやパネルを利用した説明員による解説に力を入れている印象を受けた。クルマの機能を司る中心的な役割がハードウェアからソフトウェアに移行しつつある中、展示会における製品紹介のスタイルにも変化を感じる同社のブースだった。

必要なときだけ現れるディスプレー

そんな中でひときわ存在感を醸し出していたハードウェアが「イントゥービジブル (In2visible) ディスプレー」。ダッシュボード中央をタッチすることで、空調やオーディオのコントロール、ナビゲーション、充電状態といった車両ステータスなど、様々な情報を表示する。

ナビゲーション表示
エネルギー残量表示

この統合制御ディスプレーがユニークなのは、不要な時は木やカーボンなどのインテリア素材と融合・同化するところにある。実際にデモ機を操作させてもらったが、非表示の場合は視覚的にも触覚的にもダッシュボードの表面にシームレスに統合され、モニターは完全に存在感を消していた。不要な情報でドライバーが注意散漫になるのを防止すると同時に、個人の好みに合わせた空間を楽しむ環境の提供を念頭に開発されたという。

前方のダッシュボードにシームレスに溶け込み、不要な時は完全に気配を消す。
空調操作パネルはスライドバーで調整できる。
好きな音楽を選ぶのも日常で慣れ親しんだ操作。

運転席内のコントロール系統に関しては、タッチパネルよりも物理スイッチの方が操作しやすいという意見も少なくないが、メニューの構成や階層などは慣れ親しんだスマートフォンやタブレットなどと同様で違和感はなかった。運転中にはディスプレーを注視できないため賛否は分かれるだろうが、一つの選択肢としての提案には意義を感じた。音声による操作が普及していけば、活躍の場は広がるだろう。

環境に優しいタイヤから自動運転、SDVまで

最新世代のタイヤが展示されていたのはコンチネンタルらしい。既にヨーロッパでは発売されている「ウルトラコンタクトNXT(ネクスト)」は、環境に配慮して全体の65%にリサイクル素材を使用している。ゴムや金属、カーボンファイバーなどの廃材や、ペットボトル、天然由来の樹脂などが活用されているという。

リサイクル材を活用し、環境に配慮したウルトラコンタクトNXT。
カーボンや金属などの廃材や天然由来の成分が65%使用されている。

AD/ADAS関連では「レーダー・ビジョン・パーキング」を紹介。リヤバンパーに装着する高解像度サラウンドレーダーが、カメラと連携して車両の周囲360度をシームレスに認識する。同システムは、駐車スペースの検知から、荷物の積み下ろしのためのスペースを考慮した駐車までを行うという。高性能なレーダーを使用することでセンサーの数を削減できるため、システム全体のハードウェア削減につながる。

SDV領域では「CAEdge」(Continental Automotive Edge)フレームワークを発表。車両アーキテクチャー向けソフトウェアの開発やアップデートを効率化する“仮想ワークベンチ”として活用できるソリューションだとういう。

クルマがスマホ化する時代?

本稿ではあえてハードウェアを中心にレポートしたが、冒頭で紹介したようにコンチネンタルのブースは基本的にプレゼンテーションがメインの印象を受けた。動画やアニメーションを活用することで、ソフトウェアなどに関する概念を分かりやすく説明するためだろう。特に、「ロードトゥクラウドエコシステム」と題した自動車のサイバーセキュリティに関するプレゼンテーションには、多くの見学者が集まっていた。

SDVの普及によって「クルマのスマホ化」が進むという意見もある。これからの自動車産業では、ソフトウェア開発技術もカギの1つになるのは間違いないだろう。

人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA

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