ホンダが開発する、AIならぬCI搭載の次世代モビリティ。「CiKoMa」と「WaPOCHI」は、世界をどのように認識するのか|BICYCLE‒E·MOBILITY CITY EXPO 2024
ホンダの技術開発部門の1つ、本田技術研究所(埼玉県和光市)では、2種類の車両で次世代マイクロモビリティの開発を進めている。2024年6月5日・6日に新宿で開催されたパーソナルモビリティなどの展示会「BICYCLE-E·MOBILITY CITY EXPO 2024」では、次世代モビリティがめざす1つの姿を披露した。
TEXT&PHOTO:石原健児
開発コンセプトは「 CI(協調人工知能)」
展示ブースに並んだのは、タイプが違うモビリティ「WaPOCHI(ワポチ) 」と「CiKoMa(サイコマ)」。2つのモビリティは、CI(協調人工知能)というコンセプトのもとに開発が進められている。搭載されている「Honda CI」は、ホンダが開発した周囲の環境を認識しながらユーザーとコミュニケーションを取り、意図や状況を理解し自ら判断するAI技術。環境や人とも強調しつつ、ユーザーに寄り添うモビリティとして注目されている。これこそが、本田技術研究所が目指す次世代モビリティのゴールの1つだ。高齢者や子育て世代など、ちょっとしたきっかけで外出から疎遠になりがちな層も利用対象に想定しているという。
徒歩の移動に寄り添う「WaPOCHI(ワポチ)」
WaPOCHI(ワポチ)の説明をしてくれたのは、知能化領域のチーフアシスタントエンジニア小室美沙さん。「ワポチは徒歩移動をサポートする非搭乗型のマイクロモビリティロボットです。ユーザーの先を走る先導モードと後を走る追従モードがあります。」
例えば、人込みの中で安全に自分のペースで歩きたい時には先導モード、買い物で荷物を持たず楽に歩きたい時は追従モードを使用するなど、必要に応じて使い分けることができるという。
ワポチは周囲の環境や歩行者をカメラでとらえる。ユーザーの位置情報に加えて外見的特徴を、記憶して先導・追従する。AIが歩行者の行動を先読みし、衝突リスクを考慮した軌道を生成。追従モードでは前を行くユーザーから見えやすいように斜め後ろに位置し、人込みでもまるでペットのようにユーザーを追い続ける。
先導モードでは、事前に目的地を設定しなくても、ユーザーの歩く速度や方向、身体の向きから行きたい方向を推定し先導する。スマートフォンを見ながら歩くなど、経路を邪魔する歩行者に対しては光や音を発し、避けてもらえるように働きかける。
一方、ワポチは「ついてきて」「先に行って」「待っていて」というユーザーの言葉を理解し、「ストップ」などのジェスチャーにも反応する。難しい操作を必要とせず、簡単に操作できるのが魅力だ。また、ワポチの最高速度は時速6km、バッテリーフル充電で4時間走行でき、約30kmの物を乗せることができる。主に商業施設など人が集まる場所での使用を想定している。