できあがってから走るまで:自動車の型式認定と登録
道路を走るためには標識が必要。それを得るための判断基準が型式という制度である。一台ずつの確認をしなくても「同じ品質と性能を有する」とするために、果たしてどのようなプロセスがとられているのか。
TEXT:MFi FIGURE:国土交通省/Shutterstock/JNCAP/Horiba/Mercedes-Benz
自動車が公道を走るためには標識=ナンバープレートが必要である。標識の交付を受けるためには自動車検査登録事務所、いわゆる車検場で、法に定められた要件を満たしているかを確認せねばならない。使用過程車の継続検査であれば一台ずつの条件が異なるからその確認には意義があるものの、大量に生産される自動車という製品についてそれを適用するのはいかにも無駄と手間が大きい。そこで、画一に作られているから要件を満たしているものと見なすために型式指定制度が設けられている。
申請者は申請する自動車について、保安基準に適合するか/均一性を有するかを国土交通省に証明するために車両あるいは書類を用意、審査ののちに型式指定が付与されるという流れ。型式を得た自動車は新規検査時に現車の提示を省略することができる。しかしその前段として、製造者側には完成検査が要され、工場生産ライン内の検査工程はここに当たる。
少量案件ではどのようなプロセスになるかといえば、一台ごとの新規検査となる。例えば多種多様な架装がなされるトラックやバスについては新型自動車届出制度に則り基準適合性を審査、新規検査に臨む。少数の輸入車を登録する際には輸入自動車特別取扱制度が用いられ、これは外国で生産かつ販売が認められている同型式の自動車について、年間販売予定台数が5000台以下に限り適用されるもの。基準適合性審査および抜き取り検査などを経て届出済書を交付、新規検査に臨むという過程をとる。