三菱電機、SiCパワー半導体の新製品発売。低電流領域向2製品で高効率化に貢献
三菱電機は6月10日、鉄道車両・直流送電などの大型産業機器向け大容量SiC(※1)パワー半導体「SBD(※2)内蔵SiC-MOSFET(※3)モジュール」の新製品として、耐電圧/定格電流「3.3kV/400Aタイプ」と「3.3kV/200Aタイプ」の低電流領域の2製品を発売した。
脱炭素社会の実現に貢献するキーデバイスとして、電力を効率よく変換するパワー半導体の需要が拡大・多様化しており、電力損失の大幅な低減が可能なSiCパワー半導体への期待が高まっている。
大型産業機器向けのパワー半導体モジュールは、鉄道車両の駆動システムや電源装置、直流送電などの電力関連システムにおけるインバーターなどの電力変換機器に使用されており、脱炭素社会の実現に向け、さらなる電力変換効率の向上に貢献する高出力・高効率な製品や、多様な出力容量のインバーター設計に対応する製品ラインアップが求められている。
同社は、SBD内蔵SiC-MOSFETの採用とパッケージ構造の最適化でスイッチング損失を低減しSiCの性能を引き出した「SBD内蔵SiC-MOSFETモジュール」の耐電圧/定格電流「3.3kV/800Aタイプ」を3月に発売。今回、耐電圧/定格電流「3.3kV/400Aタイプ」と「3.3kV/200Aタイプ」の低電流領域の2製品を新たにラインアップし、Unifullシリーズとして販売を開始した。
これにより、鉄道車両の補助電源装置や比較的小容量の駆動システムへの採用が可能になり、電力変換効率の向上のため多様な出力容量が求められる大型産業機器向けインバーターへの対応領域が拡大する。
同製品は、SBD内蔵SiC-MOSFETの採用により、スイッチング損失を同社従来フルSiCパワーモジュール比で約54%低減(※4)、同社従来Siパワーモジュール比で91%低減(※5)。インバーターの電力損失の低減を実現し、大型産業機器向けインバーターのさらなる高出力・高効率化に寄与する。
※1:Silicon Carbide:炭化ケイ素
※2:Schottky Barrier Diode:ショットキーバリアダイオード
※3:Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor:金属酸化膜半導体製の電界効果トランジスタ
※4:耐電圧/定格電流「3.3kV/400Aタイプ」(FMF400DC-66BEW)は、フルSiCパワーモジュール FMF375DC-66Aと比較。耐電圧/定格電流「3.3kV/200Aタイプ」(FMF200DC-66BE)は、フルSiCパワーモジュールFMF185DC-66Aと比較
※5:FMF400DC-66BEWはSiパワーモジュールCM450DA-66Xと比較