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フィスカー転覆から1ヶ月。さらに浮き彫りになった希薄なユーザー視点

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フィスカー転覆から1ヶ月。さらに浮き彫りになった希薄なユーザー視点
photosince / Shutterstock.com

6月、フィスカーの破産申請を行ったことは記憶に新しい。

自動車メーカーが破産するとオーナーたちはどうなるのだろう? 十分なメンテナンスが受けられなくなるばかりか、ソフトウェアのアップデートも不可能になる。市場に出回っていないパーツも多いため修理も困難だ。結果として保険料も上昇し、中古車価格も下落する。

フィスカーの転覆から約1ヶ月、市場はどうなっているのだろうか。

破産に至ったフィスカー、現在オーシャンの販売状況は

2016年に設立されたフィスカーだが、資金が枯渇したことでニューヨーク証券取引所から上場廃止となる。本年度3月、フィスカーは事業継続のために人員削減に踏み切り、さらに新型車の開発を6ヶ月間停止したほか、委託生産先のオーストリアのマグナ・シュタイヤーの生産を停止した。そして4月、連邦破産法第11条の適用を申請する可能性を示し、直後6月17日に実行、破産に至った。

このフィスカー唯一の市販モデルである「オーシャン」の発売当初の価格は、73kWhバッテリー、シングルモーターの「スポーツ」グレードが3万6,000ポンド(約735万円)だった。

113kWhバッテリーとツインモーターを搭載していた「ウルトラ」が5万900ポンド(約1,040万円)と同ブランド内では中価格帯に属する。最上位グレードの「エクストリーム」が5万8,685ポンド(約1,200万円)だ。

しかし4月、経営難に陥っていたフィスカーはキャッシュを確保するためにスポーツの価格を6,000ポンド(約120万円)、ウルトラの価格を1万2,000ポンド(約245万円)、エクストリームの価格を1万4,000ポンド(約285万円)引き下げ、販売促進を狙った。

4月5日以降にオーシャンを購入するユーザーを対象として「車両保証および重大な欠陥に対するすべての請求権は永久に行使不可能である。このことを承知の上でオーシャンを購入すること」という説明がなされた。その後、イギリスではオフィスが閉鎖され、すべての連絡はアメリカ本社が直接行うことになった。

ソフトウェア・アップデートについては明かされておらず、サポート内容は定かではない。保証についてはRAC(日本のJAFに相当する組織)やWarrantywiseなどの保証会社から受けることができるようだ。

生産を委託されていたマグナ・シュタイヤーは、4月までに約1万台を生産していたが、今年3月までに約5,000台が売れ残っているという状況だ。もしも生産に必要な予備部品やボディパネルの備蓄があると考えると、第三者によって市場に出回る可能性も否定できない。

急な生産停止による売り上げの低下、マグナ・シュタイヤーにも大きなダメージが

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