カーシェア・リースから見るこれからの車の在り方
近年、これからの自動車の進化の方向性を示す言葉「CASE(ケース)」が注目を集めている。CASEとは、Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared(シェアリングとサービス)、Electric(電動化)の頭文字を取った造語だ。
CASEというキーワードが登場したのは2016年9月に開催されたパリモーターショーでのこと。当時の「ダイムラー社」CEO及び「メルセデス・ベンツ」会長の「ディーター・ツェッチェ氏」が、戦略を発表するにあたり、その説明としてCASEを用いたのがはじまりだ。
このCASEの中でも、2023年にはじまった米国のEV(電気自動車)中古価格の暴落との関連性が読み取れるのがシェアリング・サービス、つまりライドシェア、カーシェアをはじめとしたサービスだ。広義では、利用料を支払い、長期的に車を借りるサブスクリプションサービス「カーリース」も個人で所有しない点においてこれに含めることができる。
そんな各種カーシェアサービスが近年、利用者数を伸ばし続けている。
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2020年度から3年間で会員数40万人増のカーシェア、一方で新車販売台数は約40万台減少
「シェアリング・サービス」は、CASEにおける自動車の進化の方向性を構成する要素の一つだ。これは今後は車を個人で所有するのではなく、シェアするもしくはサービスを利用する時代の到来を予見していると言えるだろう。
そんなカーシェアサービスは年々発展し、従来のレンタカーサービスと比較して、さらに便利になっているのが特徴だ。Webを通じて予約をすることで24時間利用できる、駐車場から利用できる、給油の必要がない場合もあるなど、より生活に近い手軽なサービスも登場している。
その甲斐もあってか日本国内のカーシェアサービスは2013年以降、年間およそ20万人のペースで会員を獲得。その勢いは現在まで続き、2020年度は約220万人、2021年度で約220万人、2022年度では約260万人と、着々と会員数を伸ばし続けている。
そして、2024年4月から日本でも限定的に解禁されたライドシェアサービスもシェアリング・サービスの一つだ。そもそもライドシェアとは、一般ドライバーが一定の条件下で、自家用車にユーザーを乗せて報酬を得ることを可能にする制度のことを指す。海外ではUberでお馴染みのサービスだ。世界的にライドシェアの導入が話題に挙がった際には、タクシーをはじめとした旅客運送業会からは禁止を求める意見が散見された。
しかしながら、タクシーの供給不足や、諸外国のライドシェア運用状況などを鑑みた結果、運行管理をタクシー会社が行うことを条件に、タクシーの不足が認められた地域、さらには定められた曜日や時間帯に限り、日本でもサービスの実施が認められた。
また、定額で長期的に借りる個人向けのカーリースも日本国内でユーザー数を伸ばし続けているサービスだ。個人向けリース車両の保有台数は2015年度が約15万台だったのに対して、2023年度では40万台を超えている。一方で、乗用車の新車販売台数は2020年度は約380万台、2021年度は約370万台、2022年度は約340万台と、年々減少を続けている。