三菱重工、カナダの亜鉛空気電池スタートアップ・イージンク社へ出資
三菱重工業は6月27日、米国統括拠点である米国三菱重工業を通じ、長期間の電力貯蔵・供給に適した蓄電池の製造を目指すカナダのスタートアップ企業・イージンク社(e-Zinc)に、エボックイノベーション社(Evok Innovations)、トヨタ・ベンチャーズ社(Toyota Ventures)、Eni Next社(Eni)などとともに出資したと発表した。
イージンク社は、独自技術を利用して、安価に長期間の電力供給が可能となる亜鉛金属(zinc metal)と空気を用いた蓄電池(亜鉛空気電池)を開発している。
亜鉛空気電池は、従来のリチウム蓄電池と比べ、自然放電の少なさ、繰り返し利用による劣化の少なさ、高い安全性、再利用の容易さといった優位性を有し、鉛蓄電池よりエネルギー密度が高いという特長もあることから、将来的な実用化が期待されている。イージンク社は、今回調達した資金を活用し、亜鉛空気電池の商用化に向けた実証や製造体制の構築を加速させる。
エボックイノベーション社は気候変動に取り組むベンチャー企業に出資するカナダのベンチャーキャピタル、トヨタ・ベンチャーズ社はトヨタ自動車が米国・カリフォルニア州に設立したベンチャーキャピタル、Eni Next社はイタリア最大の総合エネルギー企業のコーポレートベンチャーキャピタル部門。
三菱重工グループは、革新的技術を有するさまざまなパートナーへの資本参加や協業を行いながら、脱炭素社会実現に貢献する事業構築に取り組んでいる。今回の出資を通じ、同社グループが戦略的に取り組むエナジートランジションの実現ならびに社会インフラのスマート化に向けた革新的代替技術の1つとして亜鉛空気電池の商用化を支援し、脱炭素ソリューションの強化、多様化につなげていく考え。