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【免許の要らない四輪車】glafitが四輪型特定小型原付を開発。アイシンの技術を搭載し高い安定性を実現

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【免許の要らない四輪車】glafitが四輪型特定小型原付を開発。アイシンの技術を搭載し高い安定性を実現
glafitは、この四輪型小型原付のプロトタイプを利用した実証実験を7月から開始する。

電動パーソナルモビリティのスタートアップ企業glafit(グラフィット)が6月26日、四輪型「特定小型原動機付自転車」(特定原付)のプロトタイプを開発したと発表した。アイシンが開発中の「リーンステア制御」を搭載することで、旋回や段差の乗越え時に高い安定性を実現するという。7月には和歌山市や東京都江東区などで実証実験を行う計画だ。

パーソナルモビリティとしての可能性

今年登場した特定原付の「NFR-01」。

glafitは、50ccバイクなどと同じ扱いの「原付」(一般原動機付自転車)を、スイッチの切り替えで自転車としても使用できる「ハイブリッドバイク」を2017年に発売した。さらに、今年の1月には特定原付の「NFR-01」を市場投入、千葉市とさいたま市ではパートナー企業によるシェアリングサービスが開始された。

▶ハイブリッドバイクのシェアリングサービスとは

▶NFR-01とは

特定原付は昨年7月の道路交通法などの改正によって生まれた。最高速度は時速20kmに制限されるが、車体が一定の基準を満たせば運転免許がなくても乗ることができる。手軽に利用できるパーソナルモビリティとして、運転免許返納後や公共交通が十分でない地域での代替手段としても将来的な可能性を秘めている。

▶特定原付のリスクとメリット

特定原付が抱える安定性の課題

特定原付の交通事故では単独が40%を占める。(出典:警察庁)

一方で、特定原付の中で最も知られた存在である電動キックボードに関しては、運転者のマナーや交通違反などが問題視されるケースが少なくない。利用者のモラルについてはメーカーやシェア事業者、警察などによる積極的な啓発活動を期待したいが、ハードウェア面でも改善の余地はあるようだ。

特に電動キックボードは、車輪が小さいために段差などに引っ掛かりやすい。また、重心が高くバランスを崩しやすいために単独事故を起こすケースが多い。警察庁によると、昨年7月から今年1月までに全国で発生した電動キックボードの事故のうち、単独のものが全体の40.6%を占めているという。

「高齢者にも気軽に外出を楽しんで欲しい」

「三輪(または四輪)の特定原付をつくって欲しい」という要望が多いと話す鳴海氏

glafit代表取締役CEO・鳴海禎造氏は、今回発表した四輪型特定原付を「高齢者の移動に対する不安解消につなげ、気軽に外出を楽しめる生活を提供したいという私たちの想いをのせたプロダクト」と表現する。

同社のNFR-01に対しても、「二輪では安定性に不安がある」という意見が多く寄せられたという。また、特に高齢者の場合は自転車では漕ぎ出しの踏み込み時にバランスを崩したり、速度の低下で不安定になったりすることによる転倒事故が多いとのことだ。安定性が高い四輪の電動モビリティであれば、自転車のように漕ぐ必要もなく、これらの課題解決につながると鳴海氏は語る。

ただし、四輪だからといって安定性が完璧なわけではないようだ。

安定性を高めるアイシンの「リーンステア制御」

道路の段差を乗り越える際、バランスが問題になるとglafitは言う。(画像提供:glafit)
アイシンの「リーンステア制御」によりロールを抑えた高い安定性を実現するという。(画像提供:glafit)

特定原付では、車幅が600ミリ以下であることが求められる。一般の乗用車と比較すると1/2~1/3ほどしかない。バランスを考慮すると、四輪型特定原付には重心の高さによる不安定さが生じるとglafitでは考えているそうだ。

そこで、車道と歩道を行き来する際の段差を乗り越えたり、旋回する際にロール(傾き)が発生したりした際の対処が必要と判断した。アイシンとの間に共同開発契約を結び、「リーンステア制御」を採り入れることでこの課題を解消したと鳴海氏は話す。詳しいメカニズムに関する情報は開示されなかったが、車速やステアリング角などの情報に基づいてアクチュエーターが車体の傾斜を制御することで、幅の狭い車両の安定性を高めるという。

現状の課題と将来に向けた期待

片輪が段差に乗っても車体の傾きは抑えられる。量産化に期待したい。

将来の可能性を感じさせるglafitの四輪型特定原付だが、今回の発表はプロトタイプの完成と7月に行われる実証実験の計画だった。マスコミ関係者の試乗も行うなど完成度は高そうだが、現在は100キロほどの重量があり、今後は軽量化に取り組むという。そのほか、ルーフを含むボディワークの設計・開発やバッテリーの仕様検討(プロトタイプは鉛バッテリーを搭載)などの課題は残っている。鳴海氏は「2年後をめどに」と言うが、製品化の時期は未定とのことだ。

「ハイブリッドバイク」から特定原付を経て、新しいチャレンジである四輪車の開発に取り組むglafit。これまでにないハードルを越えなければならない場面に出くわすことも考えられる。実際に市販モデルの開発・製造までこぎつけるか、今後も注目していきたい。

今のところ、特定原付は電動キックボードを中心に批判を受けることが多い。しかし、使用者のモラルが向上しハード面での安全性も進化すれば、手軽なパーソナルモビリティとして少子高齢化や過疎化の進む日本社会にとって大きな力となる可能性があるだろう。glafitに限らず、特定原付の開発に取り組む大小さまざまな企業には、マイクロモビリティを正しく育てていってくれることに期待したい。

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