アルファロメオの油圧駆動スーパーチャージャー【矢吹明紀のUnique Engines】
アルファロメオのラインアップで最高レベルの人気を誇る、ご存じジュリアスプリント。そのボンネットの下にスーパーチャージャーを備えるエンジンを抱いていたモデルが極少数存在した。
TEXT:矢吹明紀(Akinori YABUKI)
1965年にアルファロメオ・ジュリアスプリントGTの軽量バージョンとして登場したジュリアスプリントGTAは、最初からワークスのアウトデルタによってツーリングレースカーへとモディファイされることが決定していたレースカーベースモデルだった。バリエーションは公道走行も可能だったベースモデルのGTAと最初から基本的な部分がレースカーにモディファイされていた市販レーサーのGTAコルサである。いずれもツインプラグのスペシャルエンジン、よりディテールが見直されたサスペンション、そして何と言っても主要なボディ外板をアルミニウム製とすることで大幅な軽量化を実現していたアルファロメオの力作でもあった。ジュリアスプリントGTAコルサはアウトデルタによってセットアップされたワークスレースカーや複数のプライベーターによるレースカー達が翌1966年度シーズンからETCことヨーロピアン・ツーリングカー・チャンピオンシップやSCCA Trans-AmことSCCAトランス・アメリカン・セダン・チャンピオンシップ、さらにはヨーロッパ各国の地方選手権といったプロフェッショナルレースシリーズにおける有力マシンとしてその名声を高めて行くこととなる。ここでの参加カテゴリーはFIA/CSIグループ2こと改造ツーリングカーだった。