15kW以下で効率クラスIE5を達成した高効率同期リラクタンスモーターを発売…三菱電機
三菱電機は、モーター出力15kW以下で国内メーカー初(※1)の効率クラスIE5(※2)を達成した、高効率同期リラクタンスモーターRF-SR形「MELSUSMO(メルサスモ)」を5月30日に発売する。
SDGs・パリ協定の採択を契機に、各国が2050年のカーボンニュートラル実現を表明している。日本国内においても、2030年度の中間目標(温室効果ガスの2013年度比46%削減)達成に向けて、ビルや工場の省エネ・CO2削減が課題となっている。
モーターは、ビルや工場などの空調設備および自動車を中心としたさまざまな工場の生産設備などに使用されており、世界の消費電力のおよそ40~50%(※3)を占めている。モーターの高効率化は省エネ・CO2削減効果が大きく、各国で高効率規制が導入されるなど、高効率化のニーズが高まっている。
今回発売する同期リラクタンスモーターRF-SR形「MELSUSMO」は、国内メーカーで初めて効率クラスIE5を達成し、ビルの空調設備および工場の生産設備を介した工場全体の省エネ・CO2削減に貢献する。モーター回転子にレアアースを原料とする永久磁石を使用しないことで省資源を実現するとともに、ベアリングなどの保守部品を容易に交換可能とし、メンテナンス性も向上させた。
パラメーターを設定するだけで「MELSUSMO」の省エネ運転を可能にする駆動用インバーター2機種も同時に発売する。今後、同製品のラインアップを順次拡充するとしている。
新製品の特長
1.国内メーカー初の効率クラスIE5の達成により、省エネ・CO2削減に貢献
モーターの回転子鉄心形状を専用設計で最適化し、モーター効率94.7%(※4) および効率クラスIE5を達成
回転子鉄心で発生する電力損失を、当社従来機種 SF-JR 形(効率クラス IE1)比で約60%、SF-PR形(効率クラスIE3)比で約20%削減し、モーターの高効率化を実現
モーター運転時の消費電力を最大約9%(※5)低減。ビルや工場における空調、コンプレッサー、ポンプ等に使用されるモーター運転時の消費電力低減によるCO2削減に貢献
回転子にアルミダイカスト(※6)を使用せず製造工程削減を実現し、製造時のCO2も低減
2.永久磁石レス構造により、省資源と高メンテナンス性を実現
・モーターの回転子に永久磁石(レアアース)を使用しない構造を採用し、省資源化を実現
・モーターの分解が容易となり、ベアリング等の保守部品を容易に交換可能とするメンテナンス性を実現
3.省エネ運転を可能にする駆動用インバーターを同時発売
・駆動用インバーターの新製品として、当社独自の最適制御により同期リラクタンスモーターの高効率運転を実現する「FR-A800-SYN」、「FR-F800-SYN」の2機種を同時発売
・あらかじめモーターの定数等を内蔵し、パラメーターを設定するだけで省エネ運転が可能
製品仕様
<製品名>同期リラクタンスモーター RF-SR 形
<効率クラス>IE5
<外被構造>全閉外扇形
<出力>5.5~15kW(わく番号 112M~132M)
<定格回転速度>3000min-1
<適用規格>なし
<価格(税抜)>379,800円~
<販売台数目標>2025年度1,000台
<駆動用インバーター>FR-A800-SYN、FR-F800-SYN(入力電圧・周波数:200-230V 50/60Hzまたは400-460V 50/60Hz)
商標関連
「MELSUSMO」 三菱電機が出願中の商標
※1:15kW以下のモーターにおいて。2023年5月18日現在。同社調べ
※2:可変速モーターの効率クラス(IEC TS 60034-30-2:2016)モーターの効率クラスはモーターが電気エネルギーを機械エネルギーに変換する際の変換効率を表す基準の一つで、数字が大きいほど効率が高く、エネルギー消費を抑えることが可能。可変速モーターの効率クラスIE5は、IEC TS 60034-30-2:2016において最も高効率なクラスであり、15kW 3000min-1における効率基準値は93.7%
※3:参考 日本電機工業会「トップランナーモータ」
※4:代表機種 RF-SF形 15kW 3000min-1 の実測値
※5:計算条件 負荷条件:7.5kW 3,600min-1、運転時間:17時間/日 335日、インバーター効率:96.2%、CO2換算係数:0.42kg/kWh
※6:アルミダイカストは、溶融したアルミニウム合金に高圧を加えて金型に充填・鋳造したもの