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日産、ステンレス溶射ボアに対応した厚膜DLCピストンリングが自動車技術会賞を受賞

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日産、ステンレス溶射ボアに対応した厚膜DLCピストンリングが自動車技術会賞を受賞

日産(本社:神奈川県横浜市西区)は5月25日、同社の「ステンレス溶射ボアに対応した厚膜DLCピストンリングの開発」が、自動車技術会主催の「第73回自動車技術会賞」において論文賞を受賞したことを発表した。

カーボンニュートラル実現に向けたCO2排出量削減のため、エンジンの燃費改善は最重要課題の一つである。燃費改善のためにEGR率(Exhaust gas recirculation ; 排気ガスの再循環機構)の増加が有効であるが、排気ガス凝縮水に由来するシリンダーボアの腐食が著しく増加することが課題であった。

この課題に対応するべく、従来の鉄溶射に比べ耐食性に優れたステンレス鋼溶射ボアを開発し、腐食を解決した。しかしその一方で、ピストンリングと溶射ボアの摺動による摩耗が新たな課題となった。そこでミクロな摩耗メカニズムをピストンリングメーカーと共同で解明し、従来技術である2層構造コーティング(※1)に対して、新たに硬度と膜厚を高度にコントロールした厚膜DLC(※2)を開発し摩耗課題を解決した。

今回開発したステンレス鋼溶射ボアと厚膜DLCピストンリングにより、エンジンの燃費を4%向上させた。この開発を通して得られた知見は、EGR率のさらなる向上やバイオ燃料へも適用可能な成果だとしている。

※1:窒化クロムコーティング+膜厚1μmのDLC(Diamond-like carbon ; ダイヤモンドライクカーボン)の2層構造
※2:膜厚9μmのDLCの単層構造

受賞概要

受賞テーマ

ステンレス溶射ボアに対応した厚膜DLCピストンリングの開発

受賞者

平山 勇人(日産)
柴田 大輔(日産)
内海 貴人(日産)
野間 俊(日産)
篠原 章郎(リケン)

自動車技術会賞について

1951年に自動車工学および自動車技術の向上発展を奨励することを目的として設けられ、自動車技術における多大な貢献・功績に対し贈られている。

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