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三菱電機、台湾の電力系統安定化に向け自励式静止型無効電力補償装「STATCOM」を受注

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三菱電機、台湾の電力系統安定化に向け自励式静止型無効電力補償装「STATCOM」を受注

三菱電機は5月26日、同社関係会社で台湾重電大手の士林電機を通じて、台湾電力から、自励式静止型無効電力補償装置(STATCOM:Static Synchronous Compensator)を受注したと発表した。台湾で電力系統安定化用途としての採用は初めてとなる(※1)。

STATCOMは、電力制御装置の一つ。電力システムにおいて自動車産業に関連する技術としても注目されている。

台湾では、カーボンニュートラルの実現に向けて、洋上風力発電や太陽光発電などの多様な再生可能エネルギー電源の導入が加速している。その一方、再生可能エネルギー電源からの送電には、系統事故時も想定した安定性の向上が必要で、台湾全体での電力系統のレジリエンス強化が求められている。

STATCOMは、パワーエレクトロニクス技術で無効電力(※2)の出力を瞬時に制御し、電力系統内の電圧を安定化する装置。今回、三菱電機製の高性能IGBT(※3)を搭載したSTATCOMの高い信頼性や、士林電機による変電設備の納入・建設工事の実績など、三菱電機グループとしての活動が高く評価され、台湾初となるSTATCOMの受注に至った。

台湾電力の南科変電所に新たに設置される地域社会との共生や景観との調和を目指したSTATCOM変電所へ納入し、台湾で最大の定格容量となる±200MVA(メガボルトアンペア)を実現することで、半導体工場やディスプレイ工場などが集積する台南サイエンスパークの安定稼働にも貢献する。納入時期は2025年上期、2026年上期中の運用開始を予定。

台湾初のSTATCOMが採用される「STATCOM変電所」のイメージ
台湾初のSTATCOMが採用される「STATCOM変電所」のイメージ

※1:2023年5月26日現在、三菱電機調べ
※2:電気を使用する際に消費されない電力で、無効電力の過不足は電力系統内の電圧変動の要因となる
※3:Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ

本プロジェクトの特長

1.台湾初の電力系統用 STATCOM で、再生可能エネルギーの増加に伴う電力動揺の 抑制に貢献

台湾最大となる±200MVAの定格容量を実現し、系統事故時において無効電力を瞬時に出力制御することで、電力動揺の抑制と系統電圧の維持に貢献する。

定常時においては、電力系統の電圧変化に対してSTATCOMが応動しない不感帯を設けることで、電力系統内の既存の調相設備との協調運転が容易となり、また、STATCOMの運転損失も低減できる。

2.景観に配慮した変電所の外観デザインを提案、地域社会との共生・調和を支援

地域社会との共生や景観との調和などを考慮し、変電所の外観デザインを三菱電機と士林電機の協働で提案する。

夜間の景観にも配慮した「STATCOM変電所」のイメージ
夜間の景観にも配慮した「STATCOM変電所」のイメージ

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