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神戸製鋼の低CO2高炉鋼材「Kobenable Steel」が自動車用特殊鋼線材に初採用

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神戸製鋼の低CO2高炉鋼材「Kobenable Steel」が自動車用特殊鋼線材に初採用

神戸製鋼所は、トヨタ自動車の競技車両「GR86(カーボンニュートラル燃料車)」に使用される青山製作所製のエンジン部品締結ボルトに、同社の低CO2高炉鋼材「Kobenable Steel」が採用されたことを発表した。自動車用特殊鋼線材に活用されたのは今回が初。

Kobenable Steelは、神戸製鋼所が2022年に商品化した低CO2高炉鋼材。自動車用鋼板・建築用鋼板・船舶用鋼板などで採用されてきたが、今回初めて自動車用特殊鋼線材として採用された。

Kobenable Steelは、トン当たりのCO2排出量の削減率が100%の「Kobenable Premier」と同50%の「Kobenable Half」の2種類がある。

今回、トヨタ自動車の競技車両「GR86(カーボンニュートラル燃料車)」に使用される青山製作所製のエンジン部品締結ボルトに採用されたのは、マスバランス方式(※1)により鋼材製造工程におけるCO2排出量を100%削減した「Kobenable Premier」。

非調質ボルト用鋼を使用することにより、「焼鈍(軟化熱処理)」(※2)と「調質(焼入れ焼戻し熱処理)」(※3)というボルト製造工程における熱処理を省略。鋼材の製造工程とボルトの製造工程の両面においてCO2排出量を低減した製法で製造されている。

トヨタ自動車は、水素エンジンを搭載した「水素エンジンカローラ」とカーボンニュートラル燃料を使用するGR86をスーパー耐久レースに投入している。これらの競技車両はモータースポーツの厳しい環境に対応することが必要であり、素材においても高い品質が求められるが、「Kobenable Steel」は、CO2削減効果だけでなく、そのような高い要求品質にも対応可能。トヨタ自動車は水素エンジンカローラにおいても「Kobenable Steel」を採用している(※4)。

GR86は、今年7月8日~9日に行われる「ENEOSスーパー耐久シリーズ2023」の第3戦「SUGOスーパー耐久3時間レース」に出走予定。

※1:製品の製造工程において、ある特性(例:低CO2品)を持った原料とそうでない原料とが混在する場合に、その特性を持った原料の投入量に応じて、製品の一部に対してその特性を割り当てる手法。
※2:伸線前の軟化熱処理(加工性を確保するための熱処理)
※3:冷間鍛造後の焼入れ焼戻し熱処理(強度、靭性等を確保するための熱処理)

※4:低CO2高炉鋼材(Kobenable Steel)の国内初の実用化について(2022年6月3日リリース)

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