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ライドシェア解禁へ前進か?深刻なタクシー不足で議論が活性化

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ライドシェア解禁へ前進か?深刻なタクシー不足で議論が活性化

2023年10月、岸田文雄首相は、地域交通の担い手不足による深刻な移動の問題を掲げ、ライドシェアを推進する姿勢を表明した。背景にあるのは、タクシー業界の人材不足。導入が検討されてから数年が経つ今も普及が進まない日本だが、今度こそライドシェア解禁となるだろうか?

「遅々として進まない」日本のライドシェア

自家用車を活用し、同じ目的地に向かう人を相乗りさせるライドシェアサービス。多くの「乗りたい人」と「乗せたい人」のニーズが合致したことで、急速に社会へ浸透した。2014年、米Uberが日本に参入したが、2023年現在もまだライドシェアサービスの展開は実現しておらず、タクシーの配車サービス(Uberタクシー)の提供のみにとどまっている。なぜか?

議論は活発化してきたが…

政府は、冒頭の岸田首相の発言以前にも国内でのライドシェア推進に言及している。23年8月、菅義偉前首相は地域を過疎地や観光地に限定することなく、ライドシェアが市街地でも利用できるように解禁することが望ましいとの考えを表明。道路運送法を改正する必要性にも言及した。

2023年11月13日に開催された内閣府の規制改革推進会議では、自治体、ライドシェア事業者、反対派がそれぞれの立場からライドシェア導入の是非について意見を述べた。

福岡市は同市の交通課題について報告し、タクシー不足で乗り場に長い列をなす一部地域の現状を伝え、地域公共交通サービスに対する住民らの不満やライドシェア・規制緩和の必要性に対する声を共有。法改正や全国で統一的なルールが必要という意見をまとめた。このほか軽井沢市、別府市などからもタクシー不足などの公共交通の課題が共有され、ライドシェアを含む対応策が提示された。

出展:内閣府 第2回 地域産業活性化ワーキング・グループ 福岡市提出資料

ライドシェア事業者のUberは、米国内で自家用車と比較した際のUber乗車の炭素強度の低さや、タクシーと比較した際の空車稼働率の低さなど、ライドシェアによる社会的なメリットを説明。諸外国でのライドシェア法制と安全確保への取り組みについて、事例や調査結果を共有した。

一方、ライドシェアへ反対の姿勢を貫く全国ハイヤー・タクシー連合会は、Uberが提示したデータが作為的とし、タクシーとライドシェアの安全性に差異はないとするUberの主張に不足する情報があると指摘。日本のタクシーと比較し米国のUberの犯罪発生率が高いことなどを挙げて、ライドシェアの安全性の課題を追求した。

同会議で交差した各者の意見からも、ライドシェアが日本国内で普及するには、安全性の確保や法改正の必要性、既存業界との共存といった課題に深く取り組む必要性が見えてくる。

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