トヨタ・クラウン、もうひとつのプラットフォーム:縦置きレイアウト・セダンのメカニズムとドライブフィール
一気にバリエーションを増やしてきた新世代クラウンファミリー。
今回、スポーツとセダンに乗る試乗会に招かれた。
個人的に期待のセダン、AWDのみとしているスポーツ、ともにユニークなシステムを搭載する。
TEXT:MFi PHOTO&FIGURE:Toyota/MFi
クラウン・セダン
主役は遅れてきた、などと綴ってはいけないのだろうか。クラウン=RWDと考えている古い頭にはそのように捉えてしまいがちだが「主役」と個人的に感じていたのはクラウンファミリーが発表されたときにセダン型が明らかにMIRAIと酷似したボディスタイルをまとっていたからであった。すでにMIRAIの試乗で非常に良好な乗り心地を堪能していただけに、ならばセダン型もきっといい仕上げになっているに違いない、と期待していたのである。
正式に発表となったセダン型クラウンは、2種のパワートレーンを搭載するとされた。ひとつは予想どおりの燃料電池をエネルギー源とするRWD-EV、そしてもうひとつはなんと2.5Lの4気筒+マルチステージハイブリッドによるRWD-HEVであった。マルチステージハイブリッドといえばレクサスファミリーで初出しとなった超絶技巧トランスアクスルで、先代に当たるクラウンでも搭載されたはず。ただしいずれも3.5LのV6エンジンと組み合わせていた。4気筒の2.5LとなるとA25A型か、縦置き式もあったはずだからパワートレーンとしては順当だが、なぜV6からスイッチしたのか......。そのように感じながら横浜・みなとみらいで開催される試乗会へ参加することとなった。
セダン型の試乗はFCEVからだった。先述のようにMIRAIでかなりの好感触を得ていただけに、走り出す前から期待大である。ちなみに各種の数値を比較してみると、MIRAIの車重1970kgに対してクラウンFCEVは2000kg、前後軸重は970:1000kgに対して970:1030kgという具合(いずれも車検証記載値)。クラウンFCEVが30kg重いのはホイールベースが80mm伸長しているからか(クラウンFCEVの軸距で3000mm)。