キープコンセプトと刷新のバランス:スズキ・新型スイフト試乗
登場するたびに議論になるスイフトの世代、スズキのプレゼンテーションでは初代がZC11型をはじめとする2004年登場モデルとしていた。そこから勘定すると今回の新型は4代目となる。グローバル販売台数はすでに900万台に届こうという成績、大台を超えるのもそろそろか。
スズキの基幹小型車であるスイフトがフルモデルチェンジを果たしたのは各所で報じられているとおり。ここ日本ではハイト系の軽自動車やコンパクトSUVの人気に押されて相対的に存在感を失っているBセグメントハッチバックカテゴリーだが、このクルマの主戦場はインド市場、次いで欧州市場。2022年の欧州販売台数ランキングを眺めても、上位10位以内にBセグハッチバックは6台を数える状況である(JATO調べ)。
とはいえホームグラウンドである日本市場の存在感も大きなスイフト。代替わりに当たってスズキが日本市場で調査すると、スイフトを評価した点として「スタイル・外観」が圧倒的に多く「走る楽しさ「」足回りの良さ」がそれに続く。一方でスイフトが不足している点としては「安全運転を支援する機能」「運転をラクにする機能」の指摘があったという。不足点の意見については先代でも実装していたではないかとは思うのだが、強いて言えばデビュー当時は一部グレードに止まっていたことがその印象を与えているのだろうか(2020年5月に全車装備化)。そこで新型スイフトではレーザレーダに替えてミリ波レーダを装備、単眼カメラの視野角も増大させて機能を高めた「デュアルセンサーブレーキサポートII」を全車に搭載し衝突被害軽減ブレーキの機能を高度化、これらの要望に応えている。
プラットフォームやシャシーは基本的に先代を踏襲。個人的にはこれが開発時にやるべきことを先鋭化し、結果として出来を良くさせたのだと感じている。「古いものは劣る」ではなく、長短所を把握できているならむしろメリットなのだろう。
気になったのは乗り心地。操舵とダンピングが良くも悪くも非常にセンシティブで運転が難しい印象。事前の市場調査では「走りのイメージが強くて候補から外した」という声があったそうだが、コンセプトではドライビングパフォーマンスが重視された。メイン市場への対策か。