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急速充電規格「CHAdeMO」から日本の充電インフラを考える

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急速充電規格「CHAdeMO」から日本の充電インフラを考える

EV では往々にして「充電」が大きな課題となるが、その充電方法には普通充電と急速充電が存在している。 普通充電は時間をかけて充電する手法。普通充電は電池容量や車種などにもよるが、満充電するのに6〜12時間以上もかかってしまう。

一方で、急速充電は大電流により短時間で充電する方法を指す。長距離走行でバッテリー残量が少なくなったときなどには特に重宝するだろう。

とはいえ、ガソリンや軽油といった液体燃料では給油に要する時間はせいぜい5分程度で済むが、EV充電の場合、 急速充電でも80%を充電するのに20〜30分かかってしまう点は課題かもしれない。

現時点における日本の急速充電は 「CHAdeMO=チャデモ」 という規格が使用されている。CHAdeMOから日本のインフラ設備を考えてみる。

ILLUSTRATION:Shutterstock

日本発の統一規格「CHAdeMO」

繰り返しになるが、日本ではCHAdeMOという独自の急速充電規格が使用されている。

制定したのはCHAdeMO協議会で、トヨタ自動車、日産自動車、三菱自動車、富士重工業(現SUBARU)、 東京電力の5社が幹事会社となり2010年に設立された。

会員には自動車会社、電力会社、充電機器メーカー、充電サービス企業、行政機関など、海外企業を含む多くの企業や団体が名を連ねている。

CHAdeMOは日本ばかりでなく、ヨーロッパをはじめアジア、アメリカなど海外にも普及している。より細かな機器の規格を制定したり、 大容量化を図った次世代の規格を検討するなど、日々進化している。2014年にはIEC (国際電気標準会議)で、電気自動車用急速充電規格の国際標準として承認されている。

CHAdeMOは交流三相200Vを電源に用い、直流による急速充電を行う。同協議会によればプロトコルにより6kWから200kWでの充電を可能にしているとのことだ。

充電に直流を用いているため、電圧が異なる交流を用いる諸外国でも利用できることは大きな利点だろう。2018年時点では CHAdeMO式充電器は世界に約1万8000基設置され、 このうち日本に7000基程度、ヨーロッパに約6000基強、 アメリカに約2300基設置されていた。

これはアメリカやドイツの自動車メーカーがなど採用しているEV向け充電プラグの規格「コンバインド・チャージングシステム(CCS、 通称コンボ)」の約2.5倍とのことだ。

電池保護や安全に配慮しながらの急速充電

急速充電する際、 EVからCAN通信で送られてくる指令を受けて、 充電器は電流値をリアルタイムで調整する。これにより、電池の性能と使用環境に応じた最適で最速の充電を可能にしつつ、かつ電池を保護するようにしている。

充電中は充電器とEVの両方で異常を監視する。EVが異常を検知した場合、その情報を伝える伝達経路として、CAN 信号とPilot信号の2つを用意することで安全性にも配慮しながら急速充電を行うことが可能だ。

EUは充電インフラに関する法律の中で、 国際標準として併記された4つの規格のうち、ドイツが提案している 「TYPE2コンボ」を欧州標準としているが、加えてCHAdeMO方式を備えたマルチ充電器の設置を容認することを特記。各国で広く普及しているCHAdeMOの重要性と市場ニーズの大きさを窺い知る事ができる。

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