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世界のEV市場が挑む予測不可能な挑戦、希望の灯と不確かな影|BYD、テスラ、EUはどう動く

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世界のEV市場が挑む予測不可能な挑戦、希望の灯と不確かな影|BYD、テスラ、EUはどう動く

BYD、テスラなど、これまでの自動車メーカーとは毛色が異なるプレイヤーが台頭しているEV市場。各国の補助もあり、順調に、かつ急速に数字を伸ばしている市場として注目を集めている。

しかしこの急激なEVシフトへの反感や、市場変調の兆しも見え隠れし始めている感もある。

今後のEVシフトを考える上で、各国の動きを眺めてみたい。

ILLUSTRATION:Shutterstock

ついに月販で日産を超えたBYD、数字を伸ばし続けるテスラ

2010年に量産型EV 「リーフ」を世界に先駆けて発売しEV(BEV:バッテリー式電気自動車)のパイオニアとして歩んできた日産。迫り来る他社のEV戦略も相まって、この領域において日産の立ち位置が大きく変わりつつある。

日産の23年10月の世界販売台数は約27,9万台(前年同月比5%増)。一方、破竹の勢いで成長する中国BYDは約30,1万台(同3%増)と急伸。BYDが単月の世界販売で日産を上回るのは22年11月以来となり、23年8月に続き3回目だ。

特筆すべきはBYDが22年3月時点でガソリン車の生産を終了していることだ。販売車種がEVとPHEV(プラグインハイブリッド車)のみであるのに対し、日産はガソリン車やHV(ハイブリッド車)も含む数字である。

また、テスラの存在も目立つ。

EV販売台数(23年1~9月期)を比較してみると、BYDの104万台に対し、テスラが132万台と一歩リード。欧州、中国などEVの主要市場でこの2社は競合しているようだ。

調査会社マークラインズの数字によると、車種別のEV世界販売台数(23年1~10月)は、 テスラ「モデルY」が84万台で首位。「モデル3」が37,6万台、 BYD 「秦プラス」が37万台、「宋プラス」が32万台と続く。販売車種、販売台数から見てもこの2社が抜きん出ていることが理解できる。

現在EVの世界市場で覇権を争うのは残念ながら日産ではなく、BYDとテスラだろう。

EVに特化し開発や生産の体制を築いて徹底的に合理化を進め、コスト競争力を磨いてきたBYDとテスラの戦略性も見逃せない。先進性を感じさせる車体デザインはもちろん、ソフトウェアを駆使したエンタテインメント性も充実している。既存の自動車メーカーの製品とは圧倒的に異なるのはこのような点だろう。

もちろん、各社躍進の背景には各国の政府、自治体などが急激に進めるEVシフトがあることは言うまでもない。

EVをめぐる各国の動き

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