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テスラを超えたBYD、市場を勝ち抜くための独自性

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テスラを超えたBYD、市場を勝ち抜くための独自性

米テスラが2023年10-12月(第4四半期)の販売台数は48万4507台、中国のBYDの同四半期販売台数は52万6409台とEV領域における世界首位の座を勝ち取った。

アフターコロナにおける中国では、不動産市場の調整などを背景に内需回復に苦戦している印象だが、対するEVやPHEVなどのNEV(新能源車)販売は好調が続いている。

コロナ禍前の2019年に102万台だったNEV販売は23年には750万台を超えると予測されていた。乗用車販売全体に占めるNEVの割合は23年11月は単月で初めて4割を超え、中国がかねて推し進めてきたNEVシフトが加速していることを物語る。

中国市場においてやはりBYDの動きは目立つ。現在は、高級価格帯の中大型EVから、中間価格のPHV、低価格の小型EVまで、多様な需要に対応するNEV計20モデルを展開。2023年1〜11月のNEV市場ではBYDが35%シェアと圧倒的な優位性を誇っている。

乗用車市場全体でも、2022年にVWの中国合弁である一汽VWを抜き首位に立ったが、2023年も首位が確実だ。量産効果で一層のコストダウンを進め、高い競争力を維持する戦略が功を奏している。

その一方で、現在の中国新車市場では厳しい価格競争が発生している。

ILLUSTRATION:Shutterstock

価格競争の火種とその影響

中国新車市場で勃発している価格競争、22年末のNEV向け補助金政策の終了直後である23年1月にテスラがに行った値下げが大きく影響していると考えられる。

これに各社が追随した。

BYDや上海蔚来汽車(NIO)などのEVメーカーのみならず、トヨタやフォルクスワーゲンも次々と値下げを決断。電気自動車の領域で発生した価格競争が、エンジン車市場にも影響を及ぼした格好だ。

日系の中国合弁各社は様々なキャンペーンを企画、展開したものの、競合車種の値下げ及び中国勢のNEVの勢いに押され気味となり、苦戦を強いられているようだ。

中国でも人気のHVを豊富にラインナップしている一汽トヨタ(トヨタと第一汽車との合弁)を除外すると、23年における日系合弁各社の中国販売台数は前年割れとなる見込みが大きい。

日本車シェアはどうだろうか。日本車はかねて中間所得層以上の買い替えニーズを満たしてきた。コストパフォーマンスや機能を重視する消費者層から支持されているセダン、長距離走行で重視する乗り心地のよさやデザインなどが評価され若年層からの評価を得たSUVなど、以前まで好調だった日本勢も苦戦を強いられている。

2020年には中国乗用車市場内で23.1%ものシェアを獲得していたものの、その後急落、2023年には15%を割る想定となっている。

BYDのPHEVが牽引するNEV市場

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