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EV市場を席巻するテスラ、BYDから日本勢は何を学べるか

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EV市場を席巻するテスラ、BYDから日本勢は何を学べるか

世界のEV市場を牽引するテスラとBYD。米中の巨人は世界販売台数で年間100万台の大台を突破するなど、EVメーカーとして破竹の勢いだ。

両社は手を緩めず、生産体制のさらなる拡大に向け突き進む。2023年7〜9月期のEV販売台数ではBYDがテスラに初め肩を並べる水準に達し、2023年10〜12月ではついにBYDが世界首位の座を奪う。

OTA(OverTheAir、無線通信)によるソフトウェア更新で車両の機能を高められることや、エンターテインメント体験を提供できる点も、流行に敏感なユーザーを引きつける要因だろう。

また、再生可能エネルギーにEVや家庭用蓄電システムを組み合わせた電力事業などインフラも含めた「多角的なEVビジネス」を手がける点は、既存自動車メーカーの枠組みを大きく超えている。

激化の一途をたどるEV競争の中で、現時点での覇者達はどのような歩みを辿ってきたのだろうか。

ILLUSTRATION:Shutterstock

自動車業界へ参入した異色のプレイヤー

話題に事欠かないカリスマ的存在イーロン・マスクをブランドの象徴とし、彼の熱烈なファンや先進的なブランド力を好む層を多く引きつけるテスラ。

展開するEVの価格帯は500万〜1000万円超と一般の乗用車と比べても高い傾向にある。テキサス州とベルリンのエ場が約2年前ほぼ同時に立ち上がり、年産能力は200万台を優に超える。

新たにメキシコでの工場建設も計画中であり、EV購入に対し政府の支援も手厚い欧米中を主戦場としている。

特に人気の高い欧州では「モデルY」の2023年1〜10月の販売台数が前年同期の2.4倍となる20.9万台を計上するなど、その地肩の強さが伺える。当モデルはエンジン車を含め欧州で最量販モデルとなり、2023年通年でも首位が濃厚だ。

約100万台近い生産能力を誇る、主力の上海工場は欧州や北米への一大輪出拠点としても一役買っている。同工場の生産能力拡張計画は一時停止していたものの、2023年12月には200万台への倍増を目指して再始動したと報じられた。

一方、BYDは携帯電話やPC向けの電池メーカーを出自としており、こちらも自動車市場においては異色の経歴を持つ。自動車各社が調達や開発で苦労する「電池」を祖業としていることは極めて大きな競争力となっている。

BYDが中国国営の自動車メーカーを買収して自動車事業に参入したのは、くしくもテスラが創業した2003年であった。

BYDはテスラと異なり大衆車路線で評価、支持を獲得してきた。「アット3」や「ドルフィン」といったSUVは300万〜400万円台で購入できる。

BYDは比較的手頃なラインナップを強みとし、タイやブラジルといった新興国に工場を建設中だ。2023年末にはハンガリーでの新工場建設も発表し、販売台数を拡大する戦略をとる。

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