住友ゴムと村田製作所、タイヤ摩耗を3次元でとらえる検知システムを共同開発
住友ゴム工業と村田製作所は4月10日、タイヤ形状を3次元でとらえて摩耗を検知し、ユーザーへデータでフィードバックするタイヤ摩耗検知システムを共同開発し、2025年より順次DUNLOP直営店「タイヤランド」実証を開始すると発表した。
一般的に、タイヤの摩耗確認では、専用のツールを用いて人が主溝の深さを計測するため、緻密な計測値を要する場合では計測条件等により誤差が発生することがあった。タイヤの偏摩耗については、主に目視での判断となり、作業者の熟練の程度により正確性を高めていた。
両社は、タイヤ摩耗をセンサーで見える化しユーザーに数値でフィードバックする摩耗検知システムの共同開発を2021年9月から開始。
住友ゴムのタイヤメンテナンスとタイヤ開発に関する知見と、村田製作所の通信市場で培った三次元計測によるセンシング技術や自動車市場における技術的知見を融合させることで、摩耗データを高精度かつ三次元で計測する技術を確立。幅広い使用環境や車両・タイヤに対応可能な摩耗検知デバイスを開発した。
同システムは、スマートフォンアプリと摩耗検知デバイスを用いてタイヤをスキャンし、アルゴリズム解析によってタイヤ表面データを3次元で可視化し、摩耗を正確に把握。ユーザーには、タイヤ各主溝の摩耗状態が3段階で表示され、偏摩耗があった場合は位置もフィードバックされる。
トラック・バス事業者が抱える課題として、2024年問題や脱炭素が挙げられるように、近年コスト低減や環境経営への需要は益々高まっている。
同実証を通して、摩耗・偏摩耗の傾向からタイヤ交換やローテーション時期を予測し、計画的なメンテナンスによる車両稼働率向上を目指す。摩耗したタイヤ表面のゴムを貼り替えて再利用する省資源なリトレッドタイヤにおいても、ローテーションなどの適切なタイヤ管理によって、土台となる質の高い台タイヤが増えることで、リトレッド回数の向上が期待できるという。
住友ゴムは、CASE/MaaSに対応する高い安全性能・環境性能を実現するために、タイヤ開発および周辺サービスの開発コンセプトである「SMART TYRE CONCEPT」を掲げている。その周辺サービスの中核を担う「センシングコア」において、同システムによる高精度な摩耗データの収集は、タイヤの摩耗検知技術の精度向上およびさらなる機能やサービスの開発につながると見込む。