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脱炭素化には内燃機関の更なる効率アップがEV化よりも今は重要…スウェーデンのSCANIAが新型トラック「スーパー」を日本に導入

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脱炭素化には内燃機関の更なる効率アップがEV化よりも今は重要…スウェーデンのSCANIAが新型トラック「スーパー」を日本に導入
スカニアジャパンが日本市場導入を発表した高効率なモデル「スーパー」は運送業界の効率化に貢献するという。

スウェーデンの大型商用車メーカー「SCANIA(スカニア)」の日本法人であるスカニアジャパンは、新型トラック「スーパー」を日本市場に導入することを発表した。同モデルは、燃費や動力性能に優れた新開発のパワートレインを搭載する。また、新設計のデュアルモニターやドライバー向けアプリの採用といったデジタル化も併せ、スカニアジャパンはユーザー企業の経営効率向上やドライバーの安全で快適な運行のサポートを目指すという。

日本での保有台数を4年で約3倍に

スカニアは、フォルクスワーゲン グループの大型商用車ラインナップの中でもプレミアムブランドに位置付けられる。国産勢の強い日本ではあまりなじみがないが、香港やニュージーランドで約20%、韓国とシンガポールでも15%を超えるマーケットシェアをもつ。2023年の日本における保有台数は2,500台にとどまるが、スカニアジャパンは2027年までにこれを6,520台まで増やす計画だという。

4月25日に行われたメディア説明会の席上、スカニアジャパンのアラン・スーダン代表取締役社長は「電動化や(部分)自動運転など、グループ企業で開発した先進技術を日本市場にも投入する用意がある」と欧州などで培ったテクノロジーに自信を見せた。

日本市場における意欲的な目標達成に自信を見せるスカニアジャパンのスーダン社長。

ディーラーも、現在の40箇所から2027年までには60拠点に拡大することを発表。ITを活用した効率化やトレーニングも充実させることで、販売及びサービスを質・量ともに高める計画だという。スーダン社長は、「日本では小さい“ニッチなプレイヤー”ですが、現在掲げているambitious(≒意欲的な)目標は達成できると信じています」と話す。

新設計のパワートレインで8%の燃費向上を実現

スカニア スーパーに搭載されるエンジン、ギヤボックス、リアアクスルは、すべてが新設計のユニットだ。従来比で8%の燃費向上を達成した新ユニットに関して、スカニアジャパンの岸郷史プロダクトマネージャーは「電化の時代と言われますが、スカニアは本気でエンジンを含むドライブトレインを一から造り直し効率を高めました」と語る。

ディーゼルエンジンを「一から新開発した」ところにスカニアの本気を見て欲しいという岸氏。

従来のOHVから直列6気筒のDOHCとすることで、正味熱効率50%を達成したという。最高出力は420馬力、460馬力および560馬力の3バリエーションがあり、900rpmの低回転から最大トルクの2800Nmを発生する。

新開発の6気筒ディーゼルエンジンは低回転から太いトルクを発生する。(画像提供:SCANIA Japan)

このエンジンを支えるギヤボックスでは、シンクロナイザーを廃止して速くスムーズな変速を実現。また、ドライサンプ方式を採用することで、オイル量の最適化を図りフリクションロスの低減に成功した。さらに全体の最適化によって小型軽量化も実現し、トランスミッション単体で1.5%の燃費向上を達成したという。

リアアクスルもハウジングを全くの新設計とした。形状の最適化によって、内部の潤滑に必要なオイル量を削減し抵抗を減らしている。その結果、燃費は1%向上しているとのことだ。

(画像提供:SCANIA Japan)
(画像提供:SCANIA Japan)

デジタル化による安全で効率の良いオペレーション

ドライバーとクルマ、そして管理者がつながる「MY SCANIA」と呼ぶシステムも搭載。大型のモニターを2基備えた「スマートダッシュ」に、ADASに関する情報をすべて一目でわかるように表示する。ドライバーにいち早く危険を知らせることで事故防止のサポートを狙ったという。

また、スマートフォンでドライバー自らが自身の運転スキルなどを確認できる「ドライバーズアプリ」も日本市場に導入する。車両の「健康チェック」も可能とのことで、不測の故障によるドライバーの負担増や車両非稼働による業務効率低下を予防するなどメリットは大きそうだ。

現在の脱炭素化には最も有効な内燃機関の効率化

乗用車や小型商用車に関しては、BEVから、ハイブリッドを中心とした内燃機関への“揺り戻し”とも言えるトレンドが生じている。長期的に見れば、モビリティの電動化は間違いないだろう。しかし、充電インフラやバッテリー技術を考えると、少なくとも現在は用途に応じたパワートレインの使い分けが脱炭素化を確実に進めるためには重要だろう。

そんな状況下、特に大型商用車についてはICEの更なる効率化は最も実効性のある手段と言って間違いないだろう。電動化は手段であって目的ではない。発電の多くを化石燃料に頼っている日本では、カーボンニュートラル実現の手段を包括的に検討する必要がある。

スーダン社長は、日本が「電動化に向けて、どのような道を歩んでいくかを見極める必要があると思います。スカニアは、打ち出された方向性をサポートできるようなソリューションを準備していきます」と言う。「地に足の着いた」スタンスで地道な前進を続ける、北欧らしい質実剛健さを感じるスカニアの戦略に注目したい。

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