Hondaと三菱商事、新会社「ALTNA株式会社」を設立。EVユーザーの総保有コストを低減する新たなモビリティサービスを展開
Hondaと三菱商事は、新会社「ALTNA(オルタナ)株式会社」(以下、ALTNA)を2024年7月に設立することを発表した。ALTNAは、Hondaが持つEV・バッテリーの制御技術やコネクテッド技術と、三菱商事が持つ蓄電池運用やスマート充電などの電力ビジネスに関する知見を組み合わせることで、EVユーザーのTCO(Total Cost of Ownership:総保有コスト)を低減する新たなモビリティサービスと、EVバッテリーを長期に活用する新たな電力事業の展開を目指す。
新会社の事業内容
1. バッテリーリース事業
Hondaが2024年10月に発売を予定している新型軽商用EV「N-VAN e:(エヌバン イー)」を皮切りに、両社の関連リース会社との連携による新しいリース商品の販売を開始する。
顧客に車両のリースを行う際、バッテリーの所有権をALTNAが保有し、リース期間中からバッテリー使用状況のモニタリングを行う。将来のバッテリー劣化予測を含めた継続的なモニタリングにより、バッテリーのSOH※1を含めた信頼性を高め、新車時から中古車まで長期にバッテリーを利活用するライフサイクル事業を展開していく。
車載利用期間終了後はバッテリーが回収され、系統用蓄電池事業(リパーパス蓄電事業)へ転用される。車載から定置用まで、バッテリーを長期で利活用することを前提としたリース価格の設定により、EVユーザーの経済的負担の軽減に貢献する。
ALTNAと各リース会社が連携して提供する車両リースサービス
①「N-VAN e: バリュープラン」
HondaおよびHonda関連会社と連携して提供する、HondaのEVユーザーに向けたクローズドエンド型※2のリース商品。車載バッテリーのリパーパス蓄電事業への転用を前提とすることで、既存商品と比較して低価格での提供を可能としている。本リース商品は新車オンラインストア「Honda ON」限定で、N-VAN e:の発売日となる10月10日から取り扱いが開始される。
②「N-VAN e: 循環リースプラン」
三菱オートリースと連携した、リースアップ後の車載バッテリーを蓄電事業に転用することで循環経済を実現し、かつ経済性の高いクローズドエンドリース商品。同社は15年におよぶEVの取扱実績に基づく独自のEVコンサルテーションプログラム「EV4CHANGE」を通じて、EV導入計画の策定から、充電器設置、EVの最適な利活用まで、法人顧客のEV導入時の課題解決を一気通貫でサポートしている。
2. リパーパス蓄電事業
車載利用を終了したバッテリーを系統用蓄電池に二次利用し、運用を行う電力事業を展開。電力の安定化を図るための調整力を提供し、再生可能エネルギーの普及拡大にも貢献する。車載利用時からバッテリーの状態を継続的にモニタリングし、得られるデータを基に回収したバッテリーを最大限活用することで、長期的・安定的な運用に結び付ける。系統用蓄電池としての利用が終了したバッテリーは、循環型のものづくり実現に向けて適切なリサイクルにつなげられる。
3. スマート充電※3事業
先進のエネルギー制御技術を活用し、電力網の需給逼迫時を避けてEV充電を行うことで、EVユーザーの電力コストを最適化するEV充電プランを提供する。エネルギー制御システムと車両を連携することにより、クルマの利用スケジュールに合わせて、最も電力の調達コストが安くなる時間帯に自動で充電を行うことで、自身で充電時間を考慮する手間もかからず、EV利用コストの低減に寄与する。さらに、電力網で再生可能エネルギーの余剰が発生する時間帯に充電を行うことでグリーン化にも貢献する。また、将来の市場開放を見据えた、V2G※4サービスの提供に向けた検討も進めていく。
※1 SOH(State Of Health):電池の容量劣化状態を表す指標
※2 リース契約期間満了時の残価保証をリース会社が行う契約方式
※3 電力の需給に合わせてEVの充電タイミングを自動制御する仕組み
※4 V2G(Vehicle to Grid):電力網からEVへの充電のみならず、EVに蓄えられた電力を電力網に供給する技術