三井物産、インド金属リサイクル大手MTC社に出資。廃自動車リサイクルに本格参入へ
三井物産は6月17日、インドの大手金属リサイクル事業者であるMTC社へ出資すると発表した。
三井物産は、1960年代から鉄鉱石や原料炭の資源開発に取り組んでおり、かつ、銅、ニッケル、リチウム、アルミなどの非鉄金属を含む地下資源の開発・安定供給に貢献している。循環型社会の実現に向けて、豪州の金属リサイクル企業のSims(シムズ)への出資や、国内関連会社のエムエム建材などに事業基盤を通じ、グローバルな金属リサイクル事業を展開している。
同社は中期経営計画2026において「Industrial Business Solutions」を攻め筋の一つとしており、資源・素材などの安定供給を通じ、産業課題解決に向けた現実解の提供を目指す。今回の出資を通じ、インドにおけるリサイクル資源のサプライチェーン構築と脱炭素化社会の実現に貢献する。
MTC社は、インド全土に30カ所以上のスクラップ選別・加工拠点を展開している金属リサイクル業者。鉄・非鉄スクラップの集荷をはじめ、選別、加工、輸送、販売までを一貫して手掛けている。出資完了後は三井物産の持分法適用会社となる。
インドでは近年、人口の増加に伴い経済成長が加速し、高速鉄道や高速道路などのインフラ整備が進んでおり、自動車などの製造業の成長が見込まれている。インド経済を支える鉄鋼需要の拡大と共に、生産能力の新設・拡張が計画される中、金属スクラップは鉄鋼業の低炭素化に貢献するリサイクル原料として、中長期的に需要が増加すると予測されている。
MTC社は操業実績を基に築いた集荷網と、取引先との信頼関係を活かして事業を拡大。将来的に電池リサイクルなど総合リサイクル企業へ発展することを見据え、廃自動車リサイクル事業にも本格参入する予定。