リチウムイオン電池を発火させる“金属汚染”。二次電池開発を阻む金属コンタミ問題にタキゲンはどう立ち向かうか?|ものづくりワールド [東京] 2024
「金属コンタミネーション」という言葉をご存じだろうか?工業製品の製造工程で金属粉が混入することによるさまざまな影響を指し「金属コンタミ(金属汚染)」とも呼ばれる。EVバッテリーなどに採用されているリチウムイオン電池、いわゆる二次電池の製造工程で発生する金属コンタミの改善に取り組み始めた企業がある。東京に本社を構える株式会社タキゲンは、自社がユーザーに提供する金属コンタミ対策製品を発売し、製造現場から好評を得ている。製品開発の背景について、次世代製品プロジェクト課長の植木 健氏にうかがった。
TEXT&PHOTO:石原健児
電池製造が業界が抱える「金属コンタミ」の影響
東京、品川区西五反田に本社を構えるタキゲン製造株式会社(以下:タキゲン)は1910年に創業。二次電池・脱炭素関連金具や医療 ・ロボット機器金具をはじめ製造メーカー向けの金具や錠前を中心に扱っている。
近年、日本国内でもEV開発が少しずつ加速する中、電池製造メーカーの製造装置の設計者から寄せられるようになった質問が主に2つある。「製品の主材料として亜鉛や銅が使われているか」「可動部分に、樹脂パーツを挟むもしくはコーティングを施しているか」。
質問に対し、「これは製造現場における“金属コンタミ”の影響が原因です」と語るのは、タキゲン次世代製品プロジェクトで課長を務める植木 健氏だ。
滑らかな動作の中でも発生する金属コンタミ
製造業界が抱える課題の一つ「金属コンタミネーション」。金属パーツの接触で発生する金属粉が製品に影響を及ぼす問題だ。電池製造業界も例外ではない。
そもそもリチウムイオン電池などの二次電池は、「電解液」の中に設置された「正極材」「負極材」間を電子が移動し電気が発生する極材の間にはショートによる加熱や発火を防ぐための「セパレーター」があるのだが、電解液に金属粉が侵入してしまうと、「電子の流れが変わり発電性能が低下する」「セパレーターを金属粉が傷つける」「電池内の温度が上昇する」などさまざまな弊害をもたらす可能性があるのだ。