ティアフォー、シリーズB追加ラウンドで85億円調達。自動運転レベル4車両の開発や安全性評価にも注力
ティアフォーは6月17日、シリーズB追加ラウンドで85億円の資金調達を実施したと発表した。これにより、シリーズB全体の資金調達額は207億円となり、創業以来の累計資金調達額は381億円となる。
同社は、「自動運転の民主化」をビジョンに掲げ、オープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」の開発を先導してきた。
シリーズAでは、そのソフトウェア開発に加えて、通信や保険、リスク管理などを含めた自動運転システムの商用化を開始。シリーズBでは、ソフトウェア開発の規模拡大、および自動運転システムのリファレンスデザインの構築に注力してきた。併せて、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業」にも採択され、総額254億円規模の研究開発プロジェクト「Microautonomy~集合的にスケーラブルな自動運転システムの創出」を推進している。
今回の増資の主な目的は、同社の強みであるソフトウェアおよびリファレンスデザインを統合した自動運転レベル4対応の車両開発の体制強化、およびその安全性評価のためのプロセスやツールの充実化。
車両開発については、NEDO「ディープテック・スタートアップ支援事業」に採択され、2023年度から2025年度にかけて、自動運転システムの品質、耐久性、個体差などに関する課題を克服し、さまざまな車両モデルに適用可能な電動化モジュールの提供を目指す。
安全性評価については、国土交通省による「中小企業イノベーション創出推進事業」のSBIRフェーズ3基金事業に採択され、2024年度から2027年度にかけて、自動運転レベル4の基準に対して認証可能な開発運用フレームワークを開発。地域公共交通の関係者が自動運転システムを搭載した車両を容易に導入できるようにするためのサービスパッケージの提供を目指す。
これらの事業推進を通して、政府が目標として掲げる2025年50カ所、2027年100カ所以上の自治体への自動運転の社会実装に貢献していく考え。海外地域においても各国のパートナー企業との連携を通じて、類似のソフトウェア開発事業、車両開発事業、安全性評価事業を展開し、グローバル市場での自動運転レベル4の実現を目指す。
シリーズAからシリーズBにかけての資金調達により、会社の成長とともに自動運転レベル4対応のソフトウェア開発を推進する体制、さらにはソフトウェアを統合した車両開発およびその安全性評価を推進する体制が整い、交通事業者向けの車両開発事業や自動車関連企業向けのソフトウェア開発事業、その他同業者向けの安全性評価事業など、国内外で本格的な事業化の段階に入ったという。
具体的な事業対象としては、路線バスと市街地タクシーを含む自動運転移動サービス、および工場内搬送と高速道路トラックを含む自動運転物流サービスに注力する計画。いずれも自動運転レベル4でのサービス提供を目指しており、新たなグローバル市場の開拓とともに、人手不足解消や交通安全の向上といった喫緊の社会課題に取り組んでいく。
今後は、シリーズB追加ラウンドで調達した資金および関連する政府助成事業を活用し、自動運転レベル4対応の車両開発と安全性評価を加速させ、自動運転移動サービスおよび自動運転物流サービスの社会実装を推進していく。これらの事業推進を通して得られるソフトウェア資産、および車両開発、安全性評価に関する知見とノウハウを新規事業に結びつけていく。
具体的には、商用利用の路線バスや市街地タクシー向け自動運転システムのリファレンスデザインを基に、個人所有の自家用車向け自動運転システムのリファレンスデザインを構築し、自動車関連企業に提供していく。特にソフトウェア定義型自動車の車両開発に適した電気電子アーキテクチャの設計、および自動運転のエッジケースを含む安全性検証に対応可能な人工知能技術として期待される世界モデルの研究を進め、重点事業に組み込んでいく予定。