BYD SEALをBYD広報担当と試乗してみた|走行距離最大640km、バッテリー容量82.56kWh、最高出力530psの実力。通勤に使っても1週間充電不要。
2024年6月25日、BYDは、日本国内第3弾となるEV「SEAL」を発売した。SEALは走行距離は最大640kmを誇る、日本国内BYDラインナップのフラッグシップモデル。走りや安全面でさまざまな工夫を凝らしている。発表後の26日、試乗の機会に恵まれたが、新モデルにただ試乗するだけではつまらない。そこで、BYD Japan株式会社広報、池畑浩氏の運転に同乗。新モデルの性能や機能から1週間充電不要という体験談まで余すところなくお訊きした。
PHOTO:平木昌宏 TEXT:石原健児
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ヴォルフガング・エッガー氏が手がけたスタイリッシュなデザインに惹き込まれる
今回BYDは2輪駆動、4輪駆動という2つのSEALを日本市場に投入した。試乗したのは、4WDモデル「SEAL AWD」。デザインを手がけたのはアルファロメオやアウディなどを手がけてきたドイツ出身のデザイナー、ヴォルフガング・エッガー氏。ウエストラインや空気抵抗も考慮したブレードホイールなどノーズからテールまで流れるような外観はスタイリッシュ。ドアノブは収納式でデザインの流れを妨げない。
今回の試乗でドライバーを務めてくれたのは、BYD Japan株式会社広報の池畑浩氏(以下:池畑氏)過去に大手自動車メーカーでの勤務も経験しており、ガソリン車、EVともに造詣が深い。TOPPER編集部からは2名が乗車させてもらった。
「Hi、BYD」で発話者の位置まで音声認識
晴天の中試乗スタート。SEALはEVならではのシームレスな加速で走り出した。上質な車内空間。見上げると天井一杯にパノラマサンルーフが広がる。後部内装にもイルミネーションが輝き、細部にもデザイン面の工夫が凝らされている。
「暑い日にはこんな装備もありますよ」と池畑氏。冷感が瞬時に背中を癒す。シートクーラーをONにしてくれたのだ。SEALはシートヒーター・クーラーを標準装備。夏場はありがたい機能だ。
車内前方中央にはメインの15.6インチタッチスクリーンが目を惹く。運転席には10.25インチのTFT液晶メーターとヘッドアップディスプレイを装備。また、メインディスプレイの下にはスマホのワイヤレス充電を2台分備えており使い勝手が良い。
「まず、音声認識を試しましょうか?」と池畑さん。「Hi、BYD、窓をちょっとだけ開けて」と指示すると助手席の窓だけが1センチほど開く。「BYDのインテリジェント音声制御機能は、ドライバー、助手席など発話者の位置を認識し指示に従います。ナビゲーション起動、音楽再生、ラジオ放送、 電話発信、エアコンなどの車内装備の制御を、音声指示で行うことができます」と池畑氏。
メインディスプレイはスマホをBluetoothで接続し、ミラーリングにも対応。画面は90度回転が可能で、スマホ表示には縦、ナビゲーション時には横など用途に併せて変更できる。
ドライバーサポート、同乗者保護機能が充実
しばらく走行した後、池畑氏は路肩に車を停め、各種設定関係の画面を見せてくれた。SEALには「レーンアシスト」「ステアリングアシスト」「ブレーキアシスト」など多様なドライブアシスト機構が搭載されている。「ブレーキアシストには「コンフォートブレーキ」設定があり、回生ブレーキとの併用で、静かなブレーキングが可能です」(池畑氏)
こうした各種サポート機能はメインディスプレイで随時設定変更ができる。「『交通標識認識システム』の項目をONにすると、カメラで速度標識を認識し、ドライバーに速度超過を警告することもできるんですよ」と池畑氏。ほかにも日本版SEALには、独自装備として「アクセルペダル誤操作防止装置」が搭載されている。
また、同乗者への安全対策にも驚かされた。「幼児置き去り検知システム」が標準装備されているのだ。「このシステムや小柄なお子さんがじっとしていても、わずかな呼吸の体の動きを感知して、登録したスマホに警報音で知らせます。子どもや小動物が車内に入る場合、26度以上になるとエアコンが始動するため、車内での熱中症を予防します(バッテリーのSOCが10%以下の場合は、警報音のみ)」。(池畑氏)2024年6月現在、国内他メーカーではこうした保護システムはまだ実装されていない。ヨーロッパの法制化を見越して搭載した機能だという。