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技術立国日本が誇る、水素ステーションの主要機器市場をリードするプレイヤーたち

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技術立国日本が誇る、水素ステーションの主要機器市場をリードするプレイヤーたち

水素ステーションを構成する主要機器は、大まかに言えば五つの重要な要素から成り立っている。

水素製造装置(オンサイト型ステーションに限定)、圧縮機、蓄圧器、プレクーラー、そしてディスペンサーである。これらの機器が有機的に連携することで、水素の生成から供給までの一連のプロセスが実現される。

では、これらの領域においてどのような企業や組織が、どのような取り組みを展開しているのか。その概要を紹介していく。

目次

水素製造装置市場をリードするプレイヤー

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水素製造装置は、クリーンエネルギーの未来を切り開く重要な技術の一つだ。この装置は、様々な原料から水素を生成し、エネルギー源として利用可能な形に変換する役割を担っている。

水素製造装置のトップメーカー、三菱化工機

水素製造装置の分野において、業界をリードする存在として知られているのは三菱化工機だ。同社の技術力と実績は、水素ステーション整備の進展に大きく貢献た。

水素製造装置は、特にオンサイト型の水素ステーションにおいて不可欠な設備だ。オフサイト型が水素製造工場で生産された水素を高圧タンクに充填し、トラックで輸送するのに対し、オンサイト型では主に都市ガスやLPガスを原料として、現地で水素を生成する。

この方式により、必要な時に必要な量の水素を効率的に製造することが可能となる。

三菱化工機の実績は極めて豊富であり、石油精製や化学品原料用の大型装置から、光ファイバー製造や半導体製造時の金属熱処理に使用される中・小型装置まで、120基を超える工業用水素製造装置の納入実績を有している。

水素ステーション向けには、新たに小型オンサイト水素製造装置「HyGeia-A/300」を開発・製品化した。この装置は、JXTGエネルギーや東京ガスのステーションをはじめ、多くの施設に導入されており、その信頼性と性能の高さが評価されている。

また、装置のコンパクト化にも注力しており、1時間あたり300Nm³の水素を製造する装置の設置面積を24m²にまで縮小することに成功した。これは従来製品の半分以下のサイズであり、限られたスペースでの設置を可能にしている。さらに、今後の量産化によって製品価格の大幅な引き下げも視野に入れており、水素ステーションの普及加速に寄与することが期待されている。

大阪ガスも水素製造装置開発へ

一方、都市ガス各社も水素製造装置の開発・製造に積極的に取り組んでいる。

これらの企業は、単独あるいは協力会社との共同開発により、水素ステーション向けの装置を提供している。

例えば、大阪ガスは、オンサイト型水素発生装置の大容量モデル「HYSERVE-300」(水素製造能力:300Nm³/h)を開発し、大阪ガスエンジニアリングを通じて販売している。

日立造船が挑戦するCO2排出ゼロのステーション開発

また、高コストなため商業ベースの水素ステーションには導入事例がないが、再生可能エネルギーを電源とし、水電解装置を備えたCO2排出ゼロのステーション開発も進んでいる。

これは現在、実証事業の段階にあり、将来の本格的な導入に向けて歩みを進めている。

九州大学伊都キャンパス内に設置された水素ステーションが挙げられ、このステーションの水素製造装置は、日立造船が開発・製造を担当した。

さらに、再生可能エネルギー発電の余剰電力貯蔵機能を備えた水素製造システム一式は、日立造船、大陽日酸、九電みらいエナジーの3社による共同受注案件となっている。

このシステムの中核を成す固体高分子形水電解装置「HYDROSPRING」は、日立造船が納入している。

圧縮機市場をリードするプレイヤー

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