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京都工芸繊維大学、エンジン改良と軽量化で圧倒的勝利へ。マシンの"ねじり剛性の強化"と"車重抑制"という相反する課題を工繊はどう克服したのか|学生フォーミュラ 2024

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京都工芸繊維大学、エンジン改良と軽量化で圧倒的勝利へ。マシンの"ねじり剛性の強化"と"車重抑制"という相反する課題を工繊はどう克服したのか|学生フォーミュラ 2024

学生フォーミュラで2022年、2023年と連続して総合優勝を果たした京都工芸繊維大学。これまでに22回開催された大会で、5度の優勝経験を持つ実力校だ。実は、数年前から学生フォーミュラ史上初となる「4連覇」を目標に掲げており、その達成に向けた努力を続けている。今回は、2024年の「3連覇」へ向けた取り組みや改良点、「4連覇」への目標にかける想いについて、プロジェクトリーダーの長谷川拓登さんに話を伺った。

TEXT&PHOTO:石原 健児(Kenji Ishihara)

主催:公益社団法人自動車技術会

ファイナル6での激戦を終え、3連覇に向けた注目が集まる

9月14日、学生フォーミュラ最終日。上位6校によるエンデュランス「ファイナル6」が開催された。京都工芸繊維大学は1分15秒から16秒台をキープし堅調な走りを見せる一方で、岐阜大学や東京農工大学が1分13秒台という好タイムを記録し、激戦となった。審査競技を終え、表彰式を待つ中、京都工芸繊維大学のブースへと足を運んでみた。学生フォーミュラ2連覇を達成した同大学は、3連覇に向けどのような対策を行ってきたのだろうか。

マシン後部から見ても計算されたフォルムが美しい

モノコック化によるボディ形状の改善に注力

「今回の準備では、ボディ形状の変更に注力しました」とプロジェクトリーダー長谷川拓登さんは語る。3連覇達成のためにチームが力を入れたのは、ねじり剛性の強化と車重抑制という相反する課題の克服だ。

「前年度までは車体全体をスペースフレーム構造で構成していましたが、今年度は後ろ半分をスペースフレーム、前半分をカーボンモノコックボディへと変更しました」。ボディ全体のモノコック化は、エンジン放熱への影響を考え、採用を見送った。

モノコック化の検討は2022年から始まり、2023年には試験片を作製するなど強度試験を重ねてきた。「アルミハニカムをカーボン素材で挟み込み、ハニカムの厚さやマスの大きさなど最適な組み合わせを研究しました。最終的には、ねじれ剛性目標値4,000に対して5,200を達成しました」と長谷川さんは説明する。

「積層構成ももちろんですが、大学研究室の充実した設備を活用しながら試験を重ね、研究を進められたのが成功の要因だと思います」

ハニカム構造の試作・研究を重ね完成した車両前部のモノコックボディ
著者
石原健児

取材ライター。
1966年東京生まれの北海道育ち。大学卒業後、イベント関連企業、不動産業を経て印刷業へ。勤務先のM&A・倒産をきっかけに2016年からライター業を始める。医療系WEB媒体、ビジネス誌「クオリタス」などで活動。医師、弁護士、企業経営者、エンドユーザーなどを対象に取材してきた。総取材人数はだいたい1500人。就学前までに自動車や転落事故で「九死に二生」位は得ていると思う。最近好きな言葉は「生きてるだけで丸儲け」。

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