自動車部品製造の基盤技術を農業分野へ応用。フタバ産業が開発するAI搭載除草ロボットの挑戦|JAPAN MOBILITY SHOW 2024
フタバ産業株式会社は、トヨタをはじめとする自動車メーカーに向けて、マフラーや車体の構造部品を製造してきた大手部品メーカーだ。そんな同社が「JAPAN MOBILITY SHOW 2024」で展示したのが、自動車分野とは一見無関係に思える「レーザー除草ロボット」である。自動車部品メーカーとして確固たる技術基盤を持つ同社が、なぜ農業分野に進出したのか。今回は、フタバ産業 事業開発本部アグリ事業開発室の主査である齊藤氏に、その背景と今後の展望をを伺った。
TEXT&PHOTO:那須野 明彦(Akihiko Nasuno)
主催:一般社団法人日本自動車工業会(JAMA)
レーザー技術を応用した雑草除去専用ロボット
斉藤氏によれば、農業分野への進出は自動車分野で培った排ガス浄化技術の応用がきっかけだという。
「2017年に、温室内で使用される燃焼式暖房機から発生する排ガスを浄化し、作物の成長を促すCO2を抽出するシステムを開発しました。これは、自動車の排ガス浄化技術を転用したものです。この経験を機に、農業分野での技術応用の可能性に注目し始めました」
今回の「レーザー除草ロボット」も、同社のレーザー技術を応用した結果生まれた製品である。レーザー溶接などで培った技術を、雑草除去に活用できるのではないかという発想が、その出発点だ。
「このロボットは、畑の畝(うね)にまたがる形で自動走行し、カメラとセンサーで雑草と作物を識別します。AIを活用した画像認識技術により、雑草のみをレーザーで焼き切る仕組みです。農家にとって手間がかかる雑草作業を、このロボットが自動で行うことで、その負担を大幅に軽減できると考えています」と斉藤氏は説明した。