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愛・地球博記念公園において、自動運転の社会実装を見据えた実証実験を実施

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アイサンテクノロジー(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:加藤 淳)は、愛・地球博記念公園(愛知県長久手市)において、「園内バスルートでの自動運転バスによる運行」をテーマに公園利用者等の移動手段を想定した実証実験を行った。

アイサンテクノロジーは、国の規制緩和の動きに連動した最先端の遠隔型自動運転システムの実証実験を積み重ねている。その一環として、愛・地球博記念公園において「園内バスルートでの自動運転バスによる運行」をテーマに、公園利用者等の移動手段を想定した実証実験を行った。

今回のプロジェクトは愛知県より委託を受け、再現可能なビジネスモデルの構築を目指すことを目的としてエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:丸岡 亨)を幹事会社とする共同体で実施した。

この実証実験では、園内バスと同型の大型バスによる自動走行が行われた。また、AI映像解析技術(※1)を活用し、園内の歩行者に対して音声によるバス接近の注意喚起も行った。さらに複数のカメラ映像を5G(※2)により伝送し、遠隔管制(※3)者がルート上の危険を検知し、遠隔管制室と車両との間でコミュニケーションを取り事故を防止する試みも行われた。

その他、車両と歩行者の動きに関するシミュレーションを行い、自動運転バスと歩行者の安全な共存の在り方を検証した。これらの実験で得られたデータは、将来の園内における自動運転サービスの実装に活用される。

1.実施日程

2023年2月10日(金)から2月12日(日)までと2月14日(火)の計4日間

2.実施場所及び走行ルート

園内西ルートと園内管理道路ルートを運行

【園内西ルート】

園内バス西ルートの一部を走行し、歩行者と自動運転バスの安心・安全な共存の在り方を検証

【園内管理道路ルート】

樹木等によりGNSS(※4)の電波を検知しづらい環境においても、LiDAR(ライダー)(※5)で測定した周囲の情報と3Dマップとを照合して位置推定をする方式により自動走行を実施し、課題を抽出。

ルート詳細

園内西ルート

<使用する園内停留所一覧>
1. 西駐車場
2. 花の広場
3. 北1駐車場
4. 愛知県児童総合センター
5. 大観覧車
6. 水のエリア

園内管理道路ルート

3.使用車両

4.実証実験の特徴

(1) 愛・地球博記念公園において大型バスによる自動走行を初めて実施

大型バス(現在運行中の園内バスと同型)による自動走行を初めて実施。本実証実験では、交通事業者が運行を担当して自動運転バス車内外の安全や運行面での課題抽出を行い、安全な運行方法の確立を目指す。

(2) 歩車混在環境におけるAI映像解析技術を活用した注意喚起

多数の歩行者による往来が見込まれる北1駐車場付近の走行ルート上で、AI映像解析技術により周辺の歩行者の状況を分析。自動運転バスの接近時に路側に設置したスピーカーから音声で注意喚起を行い、歩行者と自動運転バスの安全な共存の在り方の検証を行った。

(3) 5Gを活用した危険箇所の検出

走行ルート上や車両内外に設置した複数のカメラ(路側/車載カメラ)を5G等に接続して、運行状況を鮮明な映像により遠隔管制室から監視。遠隔管制室と車両との間でコミュニケーションを取り、事故等を防ぐ。

車載カメラには東海理化の提供する画像処理システムを活用することで、遠隔監視の複数画像を統合。車両周囲の死角が少ない映像を伝送して、遠隔管制者の負荷を軽減した。路側カメラは、車両から死角になる場所や子どもを含めた歩行者の移動が多い危険箇所に設置して有効性を分析し、将来の園内での自動運転サービスの実装に向け活用していく。

路側カメラにはENWA(エンワ)の提供する映像伝送システム「DiCaster(ディーキャスター)」を採用。専用の機材を用意することなく、スマートフォンに高精細な映像を低遅延で伝送する。

(4) 車両と歩行者の動きに関するデジタル空間上でのシミュレーション(参考実証)

車両の走行に対する歩行者の危険認知感覚をAIで再現し、歩行者にとって安心感のある自動運転車両の速度・経路等の走行方法をシミュレーションにより検証。歩行者の危険認知感覚は、事前に男女5名のモニターに様々な条件の車両走行映像を歩行者視点で視聴させた。脳活動データ等をAIで解析し危険認知スコアとして数値化することで、歩行者の反応(回避行動)をデジタル空間上で再現した。デジタル空間内で、車両の速度、車両が歩行者に向かってくる方向、車両までの距離等の数値を入力し、自動運転バスが走行している園内の状況を再現。

多数の歩行者の往来が見込まれるエリアの自動運転車両と歩行者の動きの関係性をシミュレーションした。自動運転車両の走行条件、速度や走行経路、歩行者の往来量を変更させることで、歩行者にとって安全な自動走行の実現につなげる。

将来的には、自動運転車両の速度・経路等の設定にシミュレーション結果を活用することを想定。本実証実験では、歩行者の動きと実際の歩行者の動きを比較することで、シミュレーションの有効性を検証した。

5.事業実施体制

エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズを幹事会社とする共同体で実施

協力会社

※1 AI映像解析技術:AIにあらかじめ車両や人物等を学習させ、カメラに映った映像の内容を解析する技術。
※2 5G:通信キャリアがサービスとしてスタートした第5世代移動通信システム。高速、大容量通信が特徴。
※3 遠隔管制:自動運転車両の運行を遠隔からの映像をもとに管理・制御すること。
※4 GNSS:Global Navigation Satellite Systemの略。人工衛星から発射される信号を用いて自己位置などの測位を行う技術。
※5 LiDAR:Light Detection and Rangingの略。レーザー光を使って離れた場所にある物体の形や距離を測定するセンサー技術。
※6 Autoware:自動運転システム用オープンソースソフトウェア。The Autoware Foundationの登録商標。

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