ロールス・ロイス、世界限定10台「ファントム・シンティラ」発表。設立120周年を迎え
ロールス・ロイスは8月19日、世界10台限定のプライベート・コレクション「Phantom Scintilla(ファントム・シンティラ)」を発表した。
同社は2024年で設立120周年を迎え、同ブランドの公式マスコット「スピリット・オブ・エクスタシー」へのオマージュを込めたプライベート・コレクションを発表。
1910年のマスコット製作時にマネージング・ディレクターのクロード・ジョンソンがインスピレーションを受けたギリシャ彫刻「サモトラケのニケ」をデザインに取り入れ、スピリット・オブ・エクスタシーの優雅さ、躍動感、幻想的な美しさを表現した。
サモトラケのニケは、紀元前約190年にパリアン大理石で製作された彫刻で、古代ギリシャのパロス島で採掘された。パリアン大理石(パリアン・マーブル)は純度の高さと輝きがあり、数センチの深さまで光が届くため、内側から輝いているような光沢を生み出す。スピリット・オブ・エクスタシーのフィギュアはセラミック仕上げを施し、パリアン大理石の質感を表現した。
車名は、ラテン語で「閃光」(一瞬だけ現れる明るい光)を意味する言葉に由来。サモトラケのニケにちなんだもので、スピリット・オブ・エクスタシーの「幻想的な優雅さ」と「車両が通り過ぎるほんの一瞬だけ視界に写りこむものでありながら、いつまでも残る深い印象」を表現している。
インテリアは、全体にパリアン・マーブルから着想を得た刺繍をあつらえた。6層にわたりさまざまな密度で複雑に織り込む「タタミ・ステッチ」を採用して、36種類のパネルに別々に刺繍し、86万9500ステッチで構成する。ドアに施したモチーフは、ブルー・グレー、アークティック・ホワイト、スピリット・ブルー、パウダー・ブルー、パステル・イエローの糸を組み合わせた約63万3000のステッチにイルミネイテッド・パーフォレーションを加え、これまでのロールス・ロイスの中で最も複雑なドア・デザインとなる。
フロントのフェイシア全体には、ビスポークのアートワーク「セレスティアル・パルス(天空の鼓動)」を施した。7本のリボンで構成されており、それぞれ無垢のアルミニウムから削り出した後、スピリット・オブ・エクスタシーと同じセラミックで仕上げた。鏡のように磨き上げたエッジで、動きと流動性を演出した。
ルーフ部分に星空を作り出す「スターライト・ヘッドライナー」は、スピリット・オブ・エクスタシーの流れるようなドレスにインスピレーションを得たアニメーションが特徴。手作業で独自のパターンで配置された1,500個の光ファイバーの「星」が順々に光り、動きのある感覚を演出する。通常よりも意図的に大きめに作られた4,450個の穴から、メタリックシルバーの生地がのぞき、微妙な光の相互作用を生み出すという。
リアのピクニック・テーブルにもスピリット・オブ・エクスタシーの動きをグラフィックで描いた。モチーフは、光沢のある虹色の表面にマスキング技法で施した後、手作業でやすりをかけてマットに仕上げ、2色が微妙に変化する錯覚を生み出した。
ウッドセットはアークティック・ホワイトで表現し、虹色のメタリック粒子を混ぜたラッカーで最大19層にコーティングして仕上げた。ポリッシュ仕上げのステンレススチール製トレッドプレートには、プライベート・コレクションの名が刻まれており、各コミッションにビスポークのカーカバーが付属する。
エクステリアは、ビスポークによるツートーン仕上げのボディカラーで、上部はアンダルシアン・ホワイト、下部はサモトラケのニケの由来となったサモトラケ島を囲む海の色から着想を得たトラキアン・ブルーを採用した。手塗りのダブルコーチラインとスピリット・ブルーのホイール・ピンストライプも施している。
同社のプライベート・オフィスのネットワークを通じてのみ販売される。