デンソーテン、ドライブレコーダーの映像から交通事故の原因となる危険シーンをリアルタイムで検出する技術を開発

デンソーテンは、ドライブレコーダーの映像から信号無視や車線逸脱といった交通事故の要因となる危険シーンを、走行中にリアルタイムで検出する技術を開発した。

高性能・高速エッジAIを車載器に組み込み、独自の画像認識アルゴリズムを活用することで、画像処理をスピーディーに行い危険シーンを抽出する。たとえば、運転中に赤信号の無視や青信号での発進遅れ、ふらつきや車線逸脱を検出した際に車載器からドライバーへリアルタイムに注意を促す。

エッジAIが危険シーンをリアルタイムに通知し、交通事故を未然に防ぐ

デンソーテンの法人向けドライブレコーダーを用いた「安全運転管理テレマティクスサービス」では、車載器が衝撃を検知した際にカメラ映像をクラウドに自動送信している。ここに当該技術が加わることで、衝撃の発生しない危険シーンでも検知することが可能になる。さらにリアルタイムにドライバーへ通知を行うことで、ドライバーの安全意識を高めることにつなげたい考えだ。

デンソーテンが開発した高性能・高速エッジAIと車両周辺監視システム「マルチアングルビジョン」（※1）で培った画像処理技術の応用によって様々な検知機能を実現した。車載器に実装可能な技術として開発し、法人向けドライブレコーダーとして2023年夏頃の実用化に向け準備を進めているという。

【新技術の概要】

高性能・高速エッジAIと独自の画像処理技術により危険シーンを検出

①信号検知技術

運転中の車から遠く離れた小さな信号機を検知することができる。また、図のような交差点に直進で差しかかった場合、運転中の車から信号機までの距離と方向を算出することで、前方にある信号機Bを従うべき信号機（対象信号機）、左右にある信号機A・Cは対象外と判定する（特許出願済）。その対象信号機を赤信号で通過した場合に信号無視と判定する。

※検出対象となる運転行動であっても状況によっては検出できない場合がある

②車線検知技術

図のように画像の濃淡から車線を検知するヒストグラム解析を行い、車線とそれ以外（路面や歩道）を分離することで、消えかかった車線も高い精度で検知が可能。（特許出願済）

図のような破線や二重線などを検知して自車から車線までの距離を正確に検知することで、ふらつきや車線逸脱をより高い精度で判定する。

※検出対象となる運転行動であっても状況によっては検出できない場合がある

③オートキャリブレーション

従来はカメラ取付時にマーカーを使用してカメラの角度を手動設定していたが、オートキャリブレーション機能によって、走行中にカメラの角度を自動で推定し補正する（特許出願済）。カメラの角度が変わっても検知対象物までの距離を正しく測ることができ、危険シーンの検出精度が飛躍的に向上する。

※走行環境（天候や路面状態）によっては補正できない場合がある

※1 車両の周囲を様々な視点から立体的な俯瞰映像で確認できる周辺監視システム