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フォークリフト用エンジン認証での法規違反。豊田自動織機、フォークリフト計3機種の国内出荷停止を報告

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フォークリフト用エンジン認証での法規違反。豊田自動織機、フォークリフト計3機種の国内出荷停止を報告

豊田自動織機(本社:愛知県刈谷市)は、国内市場向けフォークリフト用のエンジンについて、経年劣化による排出ガス国内規制値の超過と、排出ガス国内認証に関する法規違反の可能性を確認したことを発表。このため、2023年3月17日、ディーゼルエンジン2機種とガソリンエンジン1機種の計3機種を搭載するフォークリフトの出荷停止を決定。国土交通省、環境省、経済産業省に報告した。

豊田自動織機の報告概要

報告概要

・現行の産業機械用エンジン4機種において、以下のような不適切行為があった:
①部品の製造ばらつきの影響を調べるため、劣化耐久試験の途中で行う排出ガス試験の内一回を、エンジン部品を交換して実施
②劣化耐久試験において、一部の試験結果が異常値と考え、同性能の別エンジンの排出ガス測定結果と差替え
③劣化耐久試験結果を踏まえ、燃料噴射装置を改良。改良後同試験をやり直さず、推定値を試験結果とした
④排出ガス試験の一部で規定のエンジン運転条件の成立が困難であったため、本来設備側で設定を行うところ、エンジン側の制御ソフトの一部を変更

・ 不適切行為があった機種のうち、③に関連する2機種(フォークリフト等用ディーゼルエンジン2機種)については、排出ガス基準を満たしていない。
・不適切行為のあったエンジンおよびそれを搭載した車両について、自主的に出荷を停止する。
・事案の全容解明および再発防止策を検討するため、外部有識者による特別調査委員会を設置する。

主な経緯

2020年後半:北米向けガソリンエンジンの2021年用年次認証申請に際し、米国環境当局からのデータ確認や問い合わせへの対応を行なっていた。
2021年5月:米国環境当局への対応の中で、申請済のデータに懸念をもち、外部弁護士による調査を自主的に開始。なお、この米国認証に関する調査内容は、米国の環境・司法当局に報告済み。またこれまでに、米国各当局の調査も開始、調査に関する協力を行っている。
2022年1月:外部弁護士による調査範囲を、国内のガソリンエンジン認証まで拡大。
2022年4月:ディーゼルエンジンについても、検証・調査を開始(劣化耐久試験※を含む)。
2023年3月:排出ガス国内認証に関して問題を確認。対象エンジン搭載フォークリフトの出荷停止を決定した(出荷停止フォークリフト:月産1.4千台規模)。

※劣化耐久試験:一定時間を運転後のエンジン排出ガス性能を確認する試験

確認事項の概要

ディーゼルエンジン

機種:1ZS型/1KD型 2014年申請
搭載フォークリフト販売台数:21年度 9.4千台、23年2月末累計 71.3千台

経年劣化による排出ガスの規制値超過※と、法規に定められた劣化耐久試験の手順・方法違反を確認
※排出ガスで規制される4成分のうちPM(粒子状物質)が超過

法規に定められた劣化耐久試験の手順・方法違反を確認

ガソリンエンジン

機種:4Y型 2009年申請
搭載フォークリフト販売台数:21年度 7.1千台、23年2月末累計 88.3千台

国土交通省の対応

・豊田自動織機の報告を踏まえて、以下のとおり同社に指示を行った:
1.過去のエンジンを含めた事案の全容解明と再発防止策を策定すること
2.リコールの必要なものは速やかに実施すること
3.ユーザーへの丁寧な説明や対応に努めること

・今後、豊田自動織機に対し、速やかに調査を実施し、事実確認を行った上で厳正に対応する。

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