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エンジンテクノロジー超基礎講座057|三菱パジェロのディーゼル[4M41]ファンの要望に応え既存ユニットを大幅改良

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エンジンテクノロジー超基礎講座057|三菱パジェロのディーゼル[4M41]ファンの要望に応え既存ユニットを大幅改良

「ディーゼルのパジェロに乗りたい」というファンの要望に応えるために開発したのが、2008年10月1日に国内に投入した三菱自動車の4M41型。旧世代エンジンをコモンレール化するなどして、国内の排ガス規制に適合。同時に欧州向けも新バージョンに切り替えた。
TEXT:世良耕太(SERA Kota)

既存エンジンをベースに当時の国内排ガス規制に対応したのが、直4・3.2ℓ縦置きの4M41型である。オリジナルは3代目パジェロがデビューした1999年に登場。分配型噴射ポンプだった噴射系をコモンレール化した。システムはデンソー製で、噴射圧は1800bar。ソレノイドインジェクターは0.16mm径6噴孔を持つ。

エンジン本体の改良は、スワールコントロールバルブの採用(低速時のスモーク低減)/ピストン形状変更(排ガス改善)/吸気ポート形状変更(高速高負荷時のスモーク改善+性能向上)/EGRクーラー多積層化(NOx低減)など。VGターボはIHI製。

展示用エンジンの吸気ポート周辺を見たところ。車両搭載状態で前面にあたる。透明カバーの向こうに見えるのがスワールコントロールバルブ。手前に配置された筒状のパーツはコモンレールシステム。

後処理ではNOXトラップ触媒(基本特許はトヨタから購入)、NGK製SiC担体のDPFを取り付ける。PMは0.004g/kmとポスト新長期規制に適合する数値ながら、2200kg超の重量が災いしてNOX排出量は0.15g/kmに留まり、新長期規制対応車となっている。

開発は2006年末にスタート。限られた予算でいかに欧州向けディーゼルを国内規制に対応させるか、に腐心した様子がうかがえる。

3代目パジェロで投入した4M型をベースにコモンレール化を図るなどし、国内規制に対応させたエンジン。ターボ直下、容量1.7ℓの酸化触媒の上流に、DPF再生の昇温に使う排気燃料添加インジェクターを追加している。

■ 4M41
エンジンタイプ 直列4気筒DOHC+VGターボ
総排気量(cc) 3200
圧縮比 17
ボア×ストローク(mm) 98.5×105
最高出力(kW/rpm) 125/3800
最大トルク(Nm/rpm) 370/2000
燃料供給装置 コモンレール(ソレノイド式インジェクター:デンソー)
エミッションコントロール 新長期規制

著者
世良 耕太
テクニカルライター

1967年東京生まれ。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。編集者・ライターとして自動車、技術、F1をはじめとするモータースポーツの取材に携わる。10年間勤務したあと独立。モータースポーツや自動車のテクノロジーの取材で欧州その他世界を駆け回る。

部品サプライヤー・自動車メーカーのエンジニアへの数多くの取材を通して得たテクノロジーへの理解度の高さがセリングポイント。雑誌、web媒体への寄稿だけでなく、「トヨタ ル・マン24時間レース制覇までの4551日」(著)「自動車エンジンの技術」(共著)「エイドリアン・ニューウェイHOW TO BUILD A CAR」(監修)などもある。

興味の対象は、クルマだけでなく、F1、建築、ウィスキーなど多岐にわたる。日本カー・オブ・ザ・イヤー2020-2021選考委員。

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