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日産と日立ビルシステム、軽電気自動車 サクラからの給電で約15時間のエレベーター連続稼働を実証

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日産と日立ビルシステム、軽電気自動車 サクラからの給電で約15時間のエレベーター連続稼働を実証

日立ビルシステム(本社:東京都千代田区)と日産(本社:神奈川県横浜市西区)は、電気自動車(EV)からの給電で停電時のエレベーター利用を可能にする、V2Xシステムの普及に向けた第2弾の取り組みを実施。軽EVサクラのバッテリーからの給電により、約15時間のエレベーター連続稼働を達成した。

日立ビルシステムと日産は、EVからの給電で停電時のエレベーター利用を可能にするV2X(※1)システムの普及に向けた協創(※2)の第2弾の取り組みを実施。サクラのバッテリーからの給電により、日立標準型エレベーター アーバンエース HFを連続稼働させる実証実験を行った。外部給電が可能なバッテリー残量10%まで、14時間56分の連続稼働を達成したという。

日立ビルシステムは、今回の結果を基に2023年6月のV2Xシステム販売開始に向け詳細な仕様検討などを進めていく。また、両社はV2Xシステムの普及に向け、今後も取り組みを推進するという。

軽電気自動車「日産サクラ」(手前)からの給電の様子
軽電気自動車「日産サクラ」(手前)からの給電の様子

昨今、自然災害が頻発する中で、停電時でも社会生活を継続できるようにするための対策に注目が集まっている。高層ビルやマンションなどでは、非常時電源として蓄電池などを整備する動きが進んでいる。停電時にエレベーターなどの共用部設備が使用できなくなる事態を回避するためだが、導入コストなどが課題だ。

EVが普及すれば非常用電源として活用できる可能性が広がる。日立ビルシステムはそうした状況を見据え、EVと建物をつなぐV2X技術でEVに搭載したバッテリーからビル設備に給電を行い、継続利用を可能とするシステムを開発(※3)。エレベーターなどを稼働させるための実用化に向けて準備を進めている。

今回の実証実験

実験目的:EVの電力を利用したエレベーター動作確認およびエレベーターの実稼働データ計測
使用車両:日産サクラ (バッテリー容量20kWh、バッテリー残量10%まで外部給電が可能)
使用エレベーター:日立標準型エレベーター「アーバンエース HF」
実験環境:6階建ての試験棟に設置したエレベーターを稼働させる電力をEVからの給電に切り替える。停電時に使用する低速運転モードで、EVのバッテリー残量が10%になるまで往復運転を実施(1階および6階でドア開閉、実利用を想定した重りを搭載)

実証実験結果

実験開始から14時間56分が経過し、エレベーターの連続昇降回数が416回(往復)を数えた時点でバッテリー残量が10%に到達しエレベーターは安全に休止した。本実験により、サクラからの給電で約15時間エレベーターを連続稼働させられることを実証した。

なお、同条件で「日産リーフ e+」(バッテリー容量60kWh)を用いてエレベーターの連続稼働を行った場合の理論値は、連続昇降回数 1,248 回(往復)、連続稼働時間44時間48分となる。

※1:V2X(Vehicle to X)
自動車とさまざまなモノとの接続や相互連携を行う技術の総称。エネルギー分野においては、電気自動車と住宅やビル、電力網(グリッド)などをつなぎ、電力の相互供給を行うことを可能にする V2X システムの実用化が進められている。

※2:2023年1月27日付ニュースリリース「日産自動車と日立ビルシステムが、電気自動車からの給電で停電時のエレベーター利用を可能にするV2Xシステムの普及に向けて協創を開始」

*3:2022年5月23日付ニュースリリース「電気自動車からの給電で停電時のエレベーター継続利用を可能とする V2X システムの実証を開始」

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