自動運転の研究開発における連携協定を締結…埼玉工業大学とアイサンテクノロジー
埼玉工業大学(本部:埼玉県深谷市)とアイサンテクノロジー(本社:愛知県名古屋市)は、自動運転技術の研究・開発において協力関係を強化する連携協定を締結した。両者は自動運転の社会実装推進に向けて、Autowareをベースにした車両開発および実証実験に関する協力関係を強化。レベル4への対応に向けても連携していく。
<社会的な背景>
改正道路交通法が2023年4月1日に施行され、特定の場所での運転を完全に自動化する「レベル4」の公道走行が可能となった。加えて、経済産業省と国土交通省は2025年度までに全国40箇所で自動運転の実証実験を行う目標を掲げている。今後、自動運転技術の本格的な実装が始まる見込みだ。
「自動走行の実現に向けた取組報告と方針」報告書概要 Version4.0|2020年5月12日 自動走行ビジネス検討会
<これまでの両者の実績と関係について>
埼玉工業大学は、2017年に地元・深谷市の公道における自動運転実証実験を開始した。2019年には自動運転マイクロバス、2021年には大型自動運転バスを開発し、全国各地の実証実験に参加してきた。2021年度は、年間1万km以上の自動運転による走行を実施している。
アイサンテクノロジーは、2010年より自動運転分野における研究開発を開始。これまでに500を超えるプロジェクトで、高精度3次元地図データを提供してきた。また、Autoware(※1)を利用した自動運転車両を使用して、100を超える様々なフィールドで自動運転実証実験を行っている。
さらに、複数の車両を用いた遠隔型自動運転や5G通信を用いた自動走行などにも積極的に取り組んでいる。
<今回の連携について>
両者はこれまで、全国各地の自治体で実施された自動運転の実証実験に数多く連携して参加してきた。今回の協定に基づいて、今後は協力関係をさらに強化する。それぞれの強みを活かした連携により、レベル4への対応を含め、社会ニーズに対応した自動運転技術の開発、バス車両開発、および実証実験に取り組むとしている。
<連携内容について>
両者は主に次のような活動を行う:
(1) 自動運転技術に関連した社会ニーズの掘り起こし
(2) 社会ニーズに即した自動運転技術の開発および環境整備
(3) 自動運転オープンソースである「Autoware※」を利用した技術開発
(4) 次世代モビリティサービスとしての自動運転技術の社会実装に向けた技術検討
(5) 自動運転技術関連産業の振興
(6) その他、自動運転に関する活動
<参考情報>
アイサンテクノロジーの自動運転に関する取り組み
測量市場向けソフトウェアソリューションを提供するアイサンテクノロジーは、自動運転を支える高精度3次元地図データの作製および自動運転実用化に向けたコンサルティングに事業分野を拡大している。これまでの自動運転実証実験で得られた知見を基に、ODD(Operational Design Domain:自動運転システムが作動する環境条件)の定義、自動運転用地図作成、センサーの搭載検討、車両架装、シナリオ評価、リスクアセスメントまでをサポートする。
埼玉工業大学の自動運転の取り組み
AI技術を積極的に採用した埼玉工業大学の自動運転バスは、一般公道を法定速度で走行するのが特長だ。システムによる自動運転とドライバーによる手動運転を、即時にスムースに切り替えることで交通状況に応じた安全な走行ができる。自動運転OSのAutowareをベースに、独自開発したソフトウエアであるSAIKOカーWareにより、自動運転レベル4対応を目指して開発を進めている。
※1:自動運転システム用オープンソースソフトウェア。The Autoware Foundationの登録商標。