水素小型モビリティ・エンジン技術研究組合「HySE」を二輪メーカー4社が設立へ…経産省の認可取得

カワサキ、スズキ、ホンダとヤマハの4社は5月11日、小型モビリティ(※1)向け水素エンジンの基礎研究を目的とした「水素小型モビリティ・エンジン技術研究組合(HySE)」の設立に向け、経済産業省の認可を取得した。
脱炭素社会の実現に向け、モビリティの分野では1つのエネルギーだけではなく、マルチな取り組みが求められている。その中で、次世代エネルギーとして注目される水素を使ったエンジンを搭載したモビリティの実用化に向けた研究開発が加速している。
水素には燃焼速度の速さに加え、着火領域の広さから燃焼が不安定になりやすいこと、また、小型モビリティでの利用にあたっては燃料搭載スペースが狭いといった技術的な課題がある。HySEは、これまでガソリンエンジンの開発において各社が培った知見や技術をもとに、連携して小型モビリティ用水素エンジンの設計指針の確立も含めた基礎研究に取り組む。
HySEは小型モビリティの分野で協調し、利用者にとってさまざまな選択肢を提案すると同時に、脱炭素社会の実現に向けて貢献することを目指すとしている。
主な研究開発の内容および役割分担
1.水素エンジンの研究
水素エンジンのモデルベース開発の研究(ホンダ)
機能・性能・信頼性に関する要素研究(スズキ)
機能・性能・信頼性に関する実機研究(ヤマハ、カワサキ)
2.水素充填システム検討
水素充填系統および水素タンクの小型モビリティ向け要求検討(ヤマハ)
3.燃料供給系統システム検討
燃料供給システムおよびタンクに付随する機器、タンクからインジェクター間に配置する機器の検討(カワサキ)
HySEには正組合員である二輪メーカー4社に加え、特別組合員として川崎重工とトヨタが参画する。川崎重工は、技術研究組合CO2フリー水素サプライチェーン推進機構(HySTRA)の主幹事として有するノウハウを通してHySEの運営を推進。トヨタは、四輪車用大型水素パワーユニットの実験や解析、設計などのノウハウを提供して、HySEの研究成果の最大化を推進する。
HySEの概要(予定)
名称
水素小型モビリティ・エンジン技術研究組合(HySE: Hydrogen Small mobility & Engine technology)
所在地
東京都中央区八重洲2丁目2番1号 八重洲セントラルタワー
理事長候補
小松賢二(ヤマハ発動機 執行役員)
組合員候補
正組合員:カワサキモータース、スズキ、ホンダ、ヤマハ発動機
特別組合員:川崎重工、トヨタ
設立時期
2023年6月予定
※1:二輪、軽四輪・小型船舶・建設機械・ドローンなど