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いまだから全部話す T中研™盛衰秘話 ①「CarEx」の時代

福野礼一郎のTOKYO中古車研究所™ 第157回

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いまだから全部話す T中研™盛衰秘話 ①「CarEx」の時代

「TOKYO中古車研究所」などと大袈裟なタイトルですが、私=福野礼一郎が1993年から2012年まで自動車雑誌3誌で152回連載し、多くの方に読んでいただいた連載記事のタイトルの復刻です。Topper編集部の依頼で11年ぶりに連載再開しますが、内容的には単なる「私的ブログ」です。Topperのコンテンツの中では一人浮いてると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
TEXT&PHOTO:福野礼一郎(Rei-ichiro FUKUNO)

(本文文字量15700字) *通常は雑誌1ページで2000〜2500字

(座談写真と人物写真:篠原晃一)

(本文13000w)

良心的中古車屋の有限会社スティックシフト荒井克尚社長 おはようございまーす。

元「くるまにあ」「特選外車情報エフロード」編集長 古屋 久こと古Q ちーす。どうもでーす。

荒井 なんかこの始まりの感じ、むちゃくちゃ懐かしいですね。

篠原晃一カメラマン 初めまして。よろしくお願いします。

福野 篠原さんは私よりかなーり年下だけど、地元が同じで小学校も一緒です。

荒井 そうなんですか! へー。よろしくお願いします。

篠原カメラマン すごいガレージですね。無茶苦茶かっこいいから写真映えしまくりです。

荒井 昨日まで必死こいて片付けてました(笑)。逆に一気に片付けができたんで、こういう機会をいただいて感謝です。

良心的中古車屋「スティックシフト」の車庫兼事務所は、東京都品川区の天王洲運河そばのマンションの1階にある。スティックシフトの入居を前提にマンションそのものを設計したため、214.4平米の車庫内部は天井が3.9m(実測)と高く、表は鉄製のスライド式耐火扉に覆われていてコンクリートの要塞の趣だ。完成・入居は2014年12月。

車庫内の南西側には軽量鉄骨+全面ガラス張りの事務所が築かれ、接客室、事務室がある。荒井さんのオフィス部分は半地下と中2階で作るステップフロア構造。ワンカセットで30kgの重量に耐えられる専用設計の本棚に自動車雑誌のバックナンバーがずらりと並び、ライティングも凝りに凝っている。この事務所とインテリアを設計したのは、スティックシフトの長い顧客で、東京都目黒区碑文谷で株式会社SIMPLICITYを主催しているデザイナーの緒方慎一郎さんだ。

今日の車庫内にはレストアが終わったばかりの白い75年型914、T中研™のプロデューサーだった浜口浩太朗さんの元愛車のツェルマットシルバーの84年型911カレラ、縦目の2代目1968年型ベンツSL(W113)などが並んでいる。パープルメタ(正式名デイトナバイオレット)の8シリーズは5.6ℓ/381PSのV12を搭載、ゲトラグ6速MT仕様しかない「850CSi」という激レア車だ。オレンジメタリックのマクラーレン650Sスパイダー、93年のシルバーのホンダNSX 、派手で極上の2001年型アルナージなどは売れてしまったらしく、新入庫した2018年型の白のカマロ・コンバーチブルが置いてあった。私が2年間持っていたケントエンジン+リジッドサスのS3ケーターハムも、先日無事に新しいオーナーさんのもとへ巣立っていったとのこと。いいクルマでした。お幸せにー。

著者
福野礼一郎
自動車評論家

東京都生まれ。自動車評論家。自動車の特質を慣例や風評に頼らず、材質や構造から冷静に分析し論評。自動車に限らない機械に対する旺盛な知識欲が緻密な取材を呼び、積み重ねてきた経験と相乗し、独自の世界を築くに至っている。著書は『クルマはかくして作られる』シリーズ(二玄社、カーグラフィック)、『スポーツカー論』『人とものの讃歌』(三栄)など多数。

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