開く
NEWS

「モデルベース開発」を解説してみました[モーターファン・イラストレーテッド Vol.202|特集:MBDとはなにか]

公開日:
更新日:
「モデルベース開発」を解説してみました[モーターファン・イラストレーテッド Vol.202|特集:MBDとはなにか]

『モーターファン・イラストレーテッド』の202号は「MBDとはなにか」特集です。
MBD:モデルベース開発の接頭語であること、そして昨今の自動車開発の現場においては必須であることもよく知られるところでしょう。しかし「ではMBDとはなにか」と問われると即答しかねる、という方もいらっしゃるはず。そうした方々のために本特集を企画しました。

一言「なぜMBDが必要か」となれば、理由のひとつとして挙げられるのは、昨今の自動車開発があまりに複雑化しているから。電子制御するものがエンジンやトランスミッションくらいだったかつてに比べて、ECUが搭載されているデバイスのなんと多いことか。これらをすべて管理して制御して組み合わせてうまく動かして長くもつようにして――という具合に「かけ算」で増えていく開発の現場、普通に進めていてはできるはずがないというのはご想像のとおりです。加えて、各仕向地(主に排ガス対応、そして嗜好による仕様違い)、AD/ADAS、CASEがさらに「かけ算」されるとなれば、エンジニア諸氏が「MBDがないと絶対に無理」と一様におっしゃるのも宜なるかな。かようにしてモデルベース開発は必須となっているのです。

ではそのMBD。企画から設計各フェーズにおいて、それら細かいニーズや機能を満足させていこうとすれば、どうしても過不足が生じます。それを見逃したまま次のステージに進み、さらに気づかずに次のステージへ……となり、例えば量産直前にどうにもならなくなって修正となれば大変なロスとコストになります。MBDを用いることで遺漏なく精度よく開発が進められることに加え、各ステージ/フェーズにおける状況がメンバーすべてに共有されているため、そもそも手戻りが生じない(あるいは生じにくい)。ゆえにMBDは現在、そしてこれからも必要とされています。

本特集ではそのMBDについて、必要とされる背景から各社における具体開発事例まで、さまざまを取り上げることで理解を深められるように構成しました。

MBDといえばマツダ、という関係者は多く、なかでもJAMBE:MBD推進センターを率いる人見光夫氏の存在は非常に大きいと考えます。同氏にあらためて、なぜMBDなのか、MBDとはそもそもなにか、MBDによって何が効率化されるのか――など、非常に基本的なところをうかがいました。
MBDの実例。ドイツのエンジニアリング会社・IAVに、バッテリー開発における例をうかがいました。高くて扱いが難しい駆動用バッテリーをいかに最大限活用するか。IAVがMBDを用いて弾き出した最適解はツインバッテリーというユニークな策。ツインの意味はいくつかあって、急進著しいLFP、登場間もなく動向が注目されるSIB、これらとは意味は異なるけれど方式として期待されているSSB、そして現在の主役であるLIB。これらを適性にあわせて組み合わせることで最大効率を図ります。
駆動系での適用例をNTNにききました。ドライブシャフトとハブベアリングという製品は、すでに極限まで効率化が進んでいる商品です。ここからさらに低燃費化や軽量化、低摩擦化を図るとなったとき、MBDはどのように活用されているのか。同社における具体的なプロセスと適用事例をうかがいました。
eAxleというパワートレーンは、エンジン+トランスミッションに比べてとてもシンプルな構造とすることができます。温度に対する要求はICE+TMに比べても同等、とくにモーターに関しては不可逆的な劣化を回避せねばならないことから、むしろよりシビアといってもいいところがあります。効率的に冷やし潤滑するためのフルードを、いかに少ない量で運用するか。アイシンに現行機種における適用事例を取材しました。
ステアリングフィールという感性に依る指標。究極的には人それぞれの好みとも言えるこの性能を暗黙知ではなく形式知とし、開発に結実させたい。神奈川工科大学で教鞭をとる久代先生に、人間の感性の把握とその定量化、MBDに結びつけて実際のステアリング開発に結びつけるストーリーをききました。
著者
Motor Fan illustrated

「テクノロジーがわかると、クルマはもっと面白い」
自動車の技術を写真や図版で紹介する、世界でも稀有でユニークな誌面を展開しています。
http://motorfan-i.com/

PICK UP