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電気が“動く”時代に「エネルギー自立」を考える。EVで非常時の利便性と安心は買えるか?

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電気が“動く”時代に「エネルギー自立」を考える。EVで非常時の利便性と安心は買えるか?
経済産業省 災害時における 電動車の活用促進マニュアルより

台風や大雨など災害の頻度や深刻度が増す日本。停電で電気が途絶えてしまったとき、EVがあれば非常用電源として使える(※)が、EVで家庭の電気をまかなえると認識する人はまだ少ない。これからの有事に備え、防災観点でEVを検討する場合、どんな利点や注意点を見ておくと良いだろうか?

※給電システムを備えた車両。リストはこちら

災害時、家庭の電力復旧目安は3日

「記録的な暑さ」「これまでに経験したことのないような大雨」「命を守る行動を」―。地球温暖化の影響で、深刻な災害やその頻度が増えている。地震や台風などにより停電が起きた場合、復旧に数日を要した事例は少なくない。

日本自動車工業会は、甚大な災害発生による停電が起きた場合、家庭での電力復旧に3日を見込んで備えることを推奨している。過去の大規模災害後、電力復旧にかかった日数は、阪神淡路大震災では本震の発生から6日後、東日本大震災では本震の発生から7日後、熊本地震では本震の発生から5日後だった。2019年9月、千葉県を中心に甚大な被害を及ぼした台風15号の影響で起きた停電は、長いところで2週間以上が続いた。

災害時、EVは非常用電源として使える

多くの電動車は、外部給電機能を備えており、災害時に移動式電源として活用できる。EVのバッテリーは、家庭用蓄電池よりも多くの電気を蓄えることができ、基本的には蓄電容量がより大きいものが多くの電気を供給できる。

たとえば日産自動車の「リーフe+」は、60kWhと40kWhの2つのバッテリーオプションがあり、60kWhのバッテリーを搭載したリーフe+は、一般家庭の約4日分の電力をまかなうことができる。

日産自動車ニュースルームより

たとえば被災時に、冷蔵庫の保冷維持(120W x 24時間/日)と夜間だけ電気ストーブを使いたい場合(900W x 12時間/日)、理論値では4日分以上の電力をEVでまかなうことができる。スポットで電子レンジの使用やスマホの充電を行うことも可能だ。一般的な家庭用蓄電池の場合、大容量でも16kWhほどであることを考えると、40kWh以上のEVバッテリーがあればより大きな安心が得られるだろう。

EVから外部給電する方法

EVから外部へ給電する際、大きく2つの方法がある。

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