日本道路が手掛けるオーダーメイドのバンクコース。高速周回路の精緻な施工技術とは?|JAPAN MOBILITY SHOW 2024
自動車メーカーやタイヤメーカーにとって、製品の最終テストに欠かせないのがテストコースだ。特に高速走行テストでは急峻なバンクコースは必要不可欠である。2024年10月15日から18日にかけて開催されたJAPAN MOBILITY SHOW 2024では、テストコースの施工を手掛ける大手ゼネコンの日本道路株式会社が展示を行っていた。そこで今回は、バンクコースに焦点をあて、生産技術本部技術部課長の浅井 友章氏に施工方法やこだわりを伺った。
TEXT&PHOTO :石原健児
主催: 一般社団法人日本自動車工業会(JAMA)
求められる高い精度、緻密な計算でテストカーの逸脱を防ぐ
テストコースのバンク施工は、依頼主から提示された条件を元に精密な数値計算を行う。「基本的にバンクコースの角度は依頼主が提示しますが、走行速度によってバンクの角度は変わります。例えば60km/hの低速レーン、80km/hの中速レーン、100km/hの高速レーンと設定した場合、それそれのレーンに必要な角度は計算で求められます」と浅井氏は説明する。想定したスピードでテストカーがレーン外へ逸脱しないよう、安全なバンク角度を設定することが重要だ。
高速コースではバンク角が最大45度に達することもあるが、国内ではそのような急峻なバンクコースは多くないという。さらに、レーンの幅やカーブの半径(R)は、バンクに突入するまでの直線距離など、さまざまな条件によって変動する。
「テストコースは車の性能評価を行う場所なので、路面の平滑性に関しては厳しい基準が設けられます。道路の不均一性が評価に影響を与えることは許されません。例えば、通常の道路では3mの標準偏差のΣが2.4以下であるのに対し、テストコースでは1.5以下の数値を求められます。感覚としては1ランク上の精度を求められますね」と浅井氏は語った。
過酷な条件下での整地・舗装、施工は一周を一晩で完了
最大で45度もの角度を持つバンクコース。その整地・舗装はどのように行うのだろうか。
「まず、地ならしは型枠を設置し、バックホーで成型します。バンク上部では、ローラーをウインチで巻き上げて引っ張りながら作業を進めます」と浅井氏は説明する。