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#1 日本の道路を走ってもよい自動車についての決まりごと|型式認証制度のすべて

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#1 日本の道路を走ってもよい自動車についての決まりごと|型式認証制度のすべて

「この自動車は国が定める必要最低限の安全・環境性能を満たしている。47項目の認証項目すべてに適合していることを確認済みである。よってこの自動車は、装備・システムが変更にならないことと、試験を実施した車両と相違のない状態を製造事業者が維持することを前提に、本日以降、自由に生産・販売活動を行なうことを許可する。同時に新規登録および届出時の検査と継続使用時検査については、検査機関への現車持ち込みを免除する」日本の型式指定制度を要約すると、このようになる。車両の設計が保安基準に適合していることと、量産時には確実に均一性が保たれること。自動車製造者の義務はこの2点である。

TEXT&PHOTO:牧野茂雄(Shigeo MAKINO)


日本の道路を走ってもよい自動車についての決まりごとは、そのほとんどが1951年(昭和26年)が起源である。この年にサンフランシスコ講和条約が結ばれ、本当の意味での終戦を迎えた日本は、新しい法律を整備し、新しい制度下での国家運営に乗り出す。このときに道路運送法、道路運送車両法などが制定された。

法律はその国の実情を反映する。狭い国土と高い人口密度、欧米に比べ道路整備が遅れていたという実情から、日本には軽4輪自動車や小型自動車(5ナンバー)というカテゴリーが生まれた。その要件は法規に定められている。過去に何度か実施された軽自動車の車両寸法改定も法改正という手続きを経て行なわれた。「いまの法規が世の中の実情に合わなくなってきた」「国民の利益を考えると法律を改正するほうがいい」と判断した結果の車両寸法およびICE(内燃機関)排気量拡大であり、その判断の基準は「排出ガス対策への対応」「より高い衝突安全性の確保」という社会的要件だけでなく「利便性の向上」という消費者目線のものもあった。時代とともに法規は変わってきた。

一方で、変わらないところがある。日本の道路を走ってもよい自動車は「国が定めたルールに則って製造されていなければならない」という前提だ。その内容は大元が「道路運送車両法」に定められ、日常実務的な部分は「道路運送車両施行規則(省令)」に、ルールの詳細は「道路運送車両の保安基準(省令)」に、そしてルールに則った自動車であることを国に申請する手続きや国が行なう検査については「自動車型式指定規則(省令)」に定められている。

ルールは合計47ある。ひとつひとつのルールはそれぞれ「基準」と呼び替えることができる。基準を満たすかどうかの審査は国土交通省が行なう(実際には国土交通省の権利代行者として独立行政法人自動車技術総合機構が実施)。これが認証試験であり、47の基準それぞれをすべて満たさなければならない。

また、型式認証(Type Approval)という名称は47のルールについて審査・試験を行なう制度そのものであり、世の中でよく使われる「型式認定」という表現は2輪車を含む軽車両、小型特殊自動車、歩行補助車両(シニアカー)などに該当する制度であることから、ほとんどの4輪車に適用される型式認証とは区別されている。

なぜ認証制度があるのか。理由は「その自動車に日本での使用を許可する社会性があるかどうかを見極めること」だ。47の基準に示されていることをすべて満たしていれば、最低限の「乗員安全性」「対歩行者や軽車両への安全性」と最低限の「環境配慮」が織り込まれていると判断される。「すべて認証試験で確認された」と当局が世の中に対して宣言する手段であり、型式認証には社会性がある。ただし、それは「守らねばならない最低限」の社会性であり、それ以上の社会性を世の中に提供するか(できるか)どうかは、OEM(自動車メーカー)やサプライヤー(部品・素材の供給元)の判断に委ねられている。

著者
牧野 茂雄
テクニカルライター

1958年東京生まれ。新聞記者、雑誌編集長を経てフリーに。技術解説から企業経営、行政まで幅広く自動車産業界を取材してきた。中国やシンガポールなどの海外媒体にも寄稿。オーディオ誌「ステレオ時代」主筆としてオーディオ・音楽関係の執筆にも携わる。

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