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世の中は学びに溢れてる ⑤ それって本当に必要?

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世の中は学びに溢れてる ⑤ それって本当に必要?
(FIGURE:Electrobit)

一見関係なさそうなことでも、抽象化することで示唆を見出し、それを自分の業務に直結する具体的な学びに繋げる、という考え方を紹介する連載の第5回。今回は、子供向け洋品店の西松屋から学んでみたい。
TEXT:貝瀬 斉(Hitoshi KAISE:ローランド・ベルガー)

西松屋に着目したのは、従来の当たり前を生活者視点から定期的に見直し、競合に左右されず独自の取り組みを行っているからである。例えば、店舗のBGM。量販店はどこも流れているもので、西松屋も06年ごろまでは流していた。しかし「商品を目で見て手で触れて選ぶ中、BGMは邪魔なのでは」「音楽には好みがあり不快に思う人もいるのでは」といった声が社内から出て、一部店舗でBGMをやめた結果、悪影響はなかったために全店舗に展開した。実際、顧客からも「ベビーカーで眠っている子供が起きることなく買い物を済ませることができた」「足音がよく聞こえるので子供が迷子になりにくくなった」という、当初想定していなかった声も寄せられた。

他にも西松屋には「ガラガラ経営」というものがある。店内の1通路に顧客が1、2組がベストという考え方である。狙いは、顧客の行きやすさと、人件費の抑制。顧客は、ベビーカーと一緒のことが多い中、混雑した他店で気を遣いながら買い物するよりも、通路がすいていて邪魔になりにくい西松屋を選びたくなる。人件費は、店舗当たり顧客を抑えるため、従業員も少ない人数で回せる。土地建物費用が比較的安い郊外であれば、人件費の抑制効果はより店舗収益に効いてくる。そのような方針も相まって、85年には兵庫県を中心に25店舗だった店舗網は、23年には1000店舗以上へと成長した。

(PHOTO:西松屋)
著者
貝瀬 斉

ローランド・ベルガー パートナー。
横浜国立大学大学院工学研究科修了。
完成車メーカーを経てローランド・ベルガーに参画。その後、ベンチャー経営支援会社、外資系コンサルティングファームなどを経て復職。
​20年以上、モビリティ産業において、完成車メーカー、部品サプライヤー、総合商社、ファンド、官公庁など、多様なクライアントにサービスを提供。
未来構想づくり、コアバリュー明確化、中長期事業ロードマップ策定、新規事業創出、事業マネジメントの仕組みづくり、協業の座組み設計と具現化支援、ビジネスデューデリジェンスなど、幅広いテーマを手掛ける。
特に、クライアントと密に議論を重ねながら、生活者や社会の視点に基づき、技術を価値やビジネスに昇華するアプローチを大切にしている。

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