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"電気こそ正義!" な風潮に物申す![スズキ・新型スイフトのテクノロジー]

社会の脱炭素化にはエンジンにも注目すべき

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"電気こそ正義!" な風潮に物申す![スズキ・新型スイフトのテクノロジー]
スズキは新型エンジンを開発してスイフトに搭載した。

スズキがコンパクトハッチバック「スイフト」のフルモデルチェンジを行い、12月6日に公開した。2016年12月にデビューした先代から、ちょうど7年ぶりの全面改良となる。この5代目スイフトのために、スズキは1.2リッターエンジンを新開発した。BEV(バッテリーEV)が話題を集める昨今だが、実効性のあるソリューションと言えるICE(内燃機関)の更なる高効率化にも注目だ。スズキが新エンジンに採った手法とは?

万能ではない電気

社会の脱炭素化が世界中で叫ばれている今、その影響を最も受けている分野の1つが自動車産業だ。クルマの燃焼ガス削減に向け、OEMやサプライヤー各社は電動化を急ピッチで進めている。テスラはもちろんBYDなどのメーカーも増えており、生き残りをかけた戦いが激しさを増している。

その一方でEUは、2035年からとしていたICE搭載の新車販売禁止を後ろ倒しした。CO2を使って作る合成燃料、いわゆる「e-Fuel(eフューエル)」普及に向けた開発も進められている。ICEの全面禁止が、現状ではあまり現実的ではない事情がうかがえる。

また、中国やノルウェーを中心にBEVが急速に普及した背景には、政府による補助金の存在などもある。ノルウェーでは、1990年から電動車両に対するインセンティブの付与を始めた。その結果、現在の新車販売においては実に80%がBEVまたはPHEVだという。このように、技術面での進歩や環境意識の高まりだけが、市場拡大の要因ではない。

さらに、必要な電力をすべて再生可能エネルギー由来にシフトするのにも時間やコストがかかる。BEVやPHEVを充電するための電力を、化石燃料に頼っていては本末転倒だ。ライフの終わった車載バッテリーを、環境に負荷をかけずに処理するプロセスも確立されてはいない。クルマがBEVだけになる時代は、まだ少し先のことだろう。

現実的なソリューションとしてのICE

今後もクルマを中心にモビリティの電動化は確実に進んでいくだろう。しかし、一充電当たりの走行可能距離や充電ステーションの数も、いまだに十分とは言い難い。現状では、ICEの効率をさらに向上させる努力を継続することで、クルマ全体が社会に排出するCO2を確実に減らしていくことが重要ではないだろうか。

そんな中、莫大な投資が必要な新型エンジンの開発にスズキが取り組んだことには注目したい。シリーズハイブリッドやフルハイブリッドをもたないスズキにとって、ICEの効率化以外に選択肢がなかったという事情もあるだろう。2004年の初代発売以来、スイフトは世界で累計900万台が販売された。グローバルカーにとっては、マーケティング上のニーズでICEが必要な市場も少なくないはずだ。

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