エイム:「地域に求められるEV」を100万円以下で2025年から発売【ジャパンモビリティショー2023】
自動車メーカー以外の企業がつくったEV②:EV MICRO 01で地方経済への貢献もめざす
名古屋市に本社のあるエイム(AIM)は、「AIM EV MICRO 01」をワールドプレミアした。エンジニアリング企業である同社は、今年4月に「AIM EV SPORT 01」を公開。7月にはイギリスの「Goodwood Festival of Speed」で走行を行うなど、積極的にEV開発に取り組んでいる。
[東7ホール 小間番号E7406]
「地域に本当に必要なEV」
今回初公開されたEV MICRO 01は、「“今、地域に本当に必要なEV”として開発しました」と鈴木幸典代表取締役社長は話す。同社は「AIM NEV PROJECT」としてEVの開発に取り組んでおり、EV MICROはその第2弾となる。
26日の午後には、「EV MICRO 01がつむぐ地域社会の未来」と題したトークセッションが行われた。このクルマを活用して、地域活性化のためのプロジェクトを沖縄県などと共同で実施するという。沖縄県うるま市の中村正人市長ら行政の代表者が沖縄から東京ビッグサイトを訪れ、鈴木社長とのトークショーが行われた。
沖縄県では、39の島に人々が暮らしているという。「道幅は狭く、運搬コストによってガソリン価格が高く、ほとんどの島には交通インフラが整っていません。このような地域で暮らす人々の手軽な交通手段となるEVこそ、本当に必要ではないでしょうか?」と鈴木社長は語る。
リゾートの移動手段としてもオシャレ
EV MICRO 01は、全長2.5m、全幅1.3mのコンパクトなボディに大人2名がゆったり座れる室内を実現している。一充電あたり120kmの航続距離と、最高速度60km/hの「軽快な走行性能を備えています」と鈴木社長は語る。脱着式のルーフとサイドガラスを外してオープンにすれば、リゾートエリアなどでレンタカーとして活躍の場も多そうだ。
2025年に100万円以下で発売
バッテリーは、固定式に加えて交換式も予定している。台風などの影響を受けることの多い島嶼部では、停電時の非常用バッテリーとしても使用できるシステムの導入を計画しているそうだ。
このクルマは、2025年より沖縄県で製造することが正式に発表された。鈴木社長は、「EV事業を通して、地域経済の発展にも貢献したい」とNEVプロジェクトの展望を語っている。最初は久米島に導入されることも決まっているようだ。販売価格は、バッテリーを除いて100万円以下に抑える。
デザイン開発は、EV SPORT 01も手掛けた「SN DESIGN PLATFORM」社が行った。代表取締役の中村史郎氏は、「沖縄の風景に似合うワクワクするデザイン」を意識したと言う。「沖縄の守り神であるシーサーにインスピレーションを得たデザイン」(中村氏)で、特にフロントとリアは愛着を感じられる表情になっている。
プロジェクト第一弾のスポーツモデルも展示
エイムのブースでは、EV SPORT 01の実車も見ることができた。このモデルは、「今、私たちが乗りたいEV」をコンセプトに開発したという。60年代のスポーツカーを思わせるロングノーズ・ショートデッキのボディに、合計360kWの出力と740Nmのトルクを発生するデュアルモーターをリアに搭載した本格的なEVスポーツカーだ。
車両重量は1425kgに抑えられ、0-100km/h加速は3.1秒、最高速度は300km/hに達するという。左右の駆動輪によるトルクベクタリングによって、気持ちのよい操縦性も実現しているという。こちらは市販化の予定はないとのことだが、EV MICROと合わせて2台のオリジナルなEVを出してきたところに、エイムのEV開発にかける本気度がうかがえる。